行政事業レビュー 随所に復活“河野節”
国の予算のムダ遣いを検証する「行政事業レビュー」が13日、最終日を迎えた。この日も河野太郎・行革担当相“肝煎り”のテーマが取り上げられた。
【宇宙飛行士も議論に参加】
13日の行政事業レビューでは、国際宇宙ステーション(ISS)の予算にムダがないか議論された。
河野行革相「宇宙ステーションに日本人が行って喜んでいるという時代は、終わったのではないかなと。8000億円近いお金が累計で投下されて、果たしてそれに見合ったリターンがあったのか」
これに対し、2012年にISSに滞在した宇宙飛行士の星出彰彦さんは「宇宙開発とは何かというと、私の中では、未来への投資ではないかと思っております。必要な経費については抑える努力をしつつ、確保していくことが非常に重要なのではないか」と述べた。
ISSに投じられる予算は毎年400億円前後。議論の結果、有識者らは「予算に見合った科学的成果があったかどうか、国民に広く公表すべき」などの意見を取りまとめた。
【事業レビューで“河野節”復活】
今回の行政事業レビューでは、なりを潜めていた“河野節”が
随所、復活した。
河野行革相「どれが捕れているタヌキで、どれが捕れていないタヌキなのか、皮算用が分かんないのよ」
【テーマへのこだわり】
取り上げるテーマにもこだわりが見られる。その一つが13日に取り上げられた日本スポーツ振興センター(JSC)。河野行革相がかつて、新国立競技場の建設見直しで、その責任を追及した組織だ。
“河野行革相側”有識者「新国立競技場の建設で見られたように、JSC内部にスポーツに精通した方が存在しているのかどうか」
“河野行革相側”の別の有識者「JSCの本部ビルを建て替えする計画があるんですか?このご時世、150億円以上ということで」
スポーツ庁担当者「国民負担ができるだけ少なくなるようなやり方を検討する」
JSCの来年度予算は25%アップの163億円が要求されている。有識者は各競技団体へ配分する助成金について、「国民の理解が得られるよう積極的な情報開示を行う」ことなどを求めた。
【最も力を入れたのは…】
河野行革相が最も力を入れたのは、11日に取り上げた「原発関連予算」の切り込みだ。
河野行革相「くさい物にはずっとフタをしてきてしまったのが問題だと思う」
ターゲットは核燃料を運搬する全長100メートル、総トン数5000トンの船「開栄丸」。現在は1年のほとんどを北海道・室蘭市で停泊している。
そもそも開栄丸は、高速増殖炉「もんじゅ」用の燃料などを運ぶために造られた。しかし、「もんじゅ」がトラブル続きでほとんど稼働しなかった影響などもあり、これまでの運搬実績はわずか4回。
にもかかわらず、維持費として年間約12億円の国費が投入されている。「開栄丸」には乗組員十数人が常時駐在し、一人あたり月120万円以上が支払われているとされている。
周辺住民「乗組員の方が出たり入ったりするのは、あまり見ないですね」
レビューの中でも有識者から厳しい指摘が相次いだ。
有識者「(開栄丸)使わないのに年間12億、すごい額ですよね。まだ続ける理由は?」
日本原子力研究開発機構の担当者「今の時点で需要がないということではありません」
有識者「12億円を何年間、垂れ流せばいいのか」
日本原子力研究開発機構の担当者「この時点で何年というのは難しい」
議論の結果は「契約の打ち切りも含めた見直しを早急に実行するべき」となった。
【“事業仕分け”と異なり“強制力”なし】
河野行革相「“右から左にお金を流しているだけだ”という甘い認識」
今回の「行政事業レビュー」は民主党政権時代の“事業仕分け”とは異なり、削減できる予算額などは出されない。また、検証の結果を実際の予算に反映させる“強制力”もない。河野行革相には「改革姿勢のアピール」に終わらない取り組みが求められる。