軽減税率「加工食品」加える方向で最終調整
2017年4月に消費税率を10%に引き上げる際に、税の負担を減らすため、一部の品目の税率を低くする「軽減税率」。与党内の協議は大詰めで、歩み寄りをみせている。これまで両党の主張は平行線のままだったが、首相官邸サイドの強い意向を受け、「加工食品」も対象に加える方向で最終調整に入った。
自民・公明両党の幹事長による協議の今後の焦点は、加工食品の中で、軽減対象とそうでないものの線引きを設けるかどうかだ。
具体的には、税収が減ることを少しでも抑えるため、菓子と飲料を除いた加工食品8000億円規模にするのか、あるいは、線引きがあいまいになる混乱を避けるため、外食だけを除いた1兆円規模にするのか。減った税収をどのように補うかも含めてギリギリの調整が続いている模様。
公明党の主張を受け入れる方針が急浮上した背景には、公明党との関係をこじらせたくないとする首相官邸サイドの強い意向があった。
その理由としては、平和の党を標ぼうする公明党が安全保障関連法の成立に協力したことへの「恩返し」、また、来年夏の参議院選挙で公明党の協力を確かなものにしたいという思惑もある。しかし、こうした公明党への配慮を優先する姿勢には、交渉担当者からは強い反発も出ている。
軽減税率をめぐる与党協議で、最も心配されてきたことは、食品の中で線引きがあいまいになることで、国民生活が混乱すること。また、小売店などが二重税率に対応する準備が間に合うのかという点も懸念されてきた。こうした点をクリアして調整を進めることができるのか、10日の決着を目指してきたが、難航も予想される。