×

都知事候補の政策比較「待機児童」

2016年7月25日 19:00
都知事候補の政策比較「待機児童」

 キーワードでニュースを読み解く「every.キーワード」。今月31日投開票の東京都知事選挙まで1週間を切った。日本テレビ・小栗泉解説委員が、小池百合子氏(64)、増田寛也氏(64)、鳥越俊太郎氏(76)、主な3候補の政策の中身をテーマ別に詳しく解説する。25日のテーマは「どうする?待機児童」。


■待機児童“全国1位”の東京
 東京は待機児童問題が深刻だ。去年4月1日時点で東京都の待機児童の数は7814人で、全国1位となっている。2位の沖縄県(2591人)と比べても3倍以上多く、今年4月時点では600人以上増えて8466人となった。このため、都内の待機児童を持つ保護者からは切実な声が聞かれる。

 小池氏、増田氏、鳥越氏はいずれも都内の保育現場を視察し、関心の高さをアピールしているが、どんな具体策を打ち出しているのだろうか。


■“保育士の待遇”どうする?
 まず、保育士不足の要因となっている“保育士の待遇”の低さをどうするか。

 小池氏は、予算を組み替えることや、空き家を保育士に住居として提供することで待遇改善に取り組むとしている。

 増田氏は、国の補助と別に都も給与を補助することや、預かる子どもが少ない土曜日は地域の1つの保育所で共同で保育をし、保育士を休みやすくすることなどを具体策に挙げている。

 鳥越氏は、公約や演説で「給与を改善する」と述べている。


■“用地確保”はどうする?
 次に保育所の“用地確保”をどうするのか。東京都内は広い土地がなかなかないし、近隣住民の反対で建設が取りやめになるケースも聞かれる。

 小池氏は「都内のあらゆる遊休地を活用する」と公約に掲げているが、もう1つ、子ども1人あたりに確保しなくてはならない広さなどの“規制緩和”を強く訴えているのが特徴だ。

 規制緩和をすれば、保育所ごとの預かる子どもの数を増やせるかもしれない。ただ、面積や人員基準を緩和した無認可保育所で事故が起きるケースもあり、質をどう担保するかは“規制緩和”の際に必要になってくる。

 増田氏は、建設の際の住民とのトラブルに対応する専門チームを都に作ることや、地域別の対策プログラムを作ることを挙げている。

 保育所のニーズは地域によって違うし、実際に保育所を整備していくのは市区町村だ。そのため、増田氏は「まず市区町村長と連携することが大事なんだ」と訴えていて、8月中に地域別の対策を作るとしている。ただ、市区町村から予算の増額など迫られた時にどうさばくかは課題になる。

 鳥越氏は「新しいマンションを建設する際には保育所を併設することを検討する」としている。


■“予算”子育てに優先は?
 予算については、小池氏は「地域の特性を見て補正予算をつけていく」、増田氏も「補正予算を9月に組む」としている。鳥越氏は公約の中で、「子育てに優先的に予算を配分する」と明記しているが、具体的な方法には言及していない。


■ほかの候補者の待機児童対策は?
 主な3候補者以外の候補者の待機児童対策を見ると、山口敏夫氏(75)は「駅周辺の商業ビルの有効活用」、上杉隆氏(48)は「空いている幼稚園の中に保育園をつくる“幼保一元化”を進める」、中川暢三氏(60)は「各市区町村への分権を進め、市区町村が柔軟に対処できる仕組みに変える」などを打ち出している。

 都知事選にはこの他、以下の15人が立候補している。

 高橋尚吾氏(32)
 谷山雄二朗氏(43)
 桜井誠氏(44)
 マック赤坂氏(67)
 山中雅明氏(52)
 後藤輝樹氏(33)
 岸本雅吉氏(63)
 七海ひろこ氏(31)
 関口安弘氏(64)
 立花孝志氏(48)
 宮崎正弘氏(61)
 今尾貞夫氏(76)
 望月義彦氏(51)
 武井直子氏(51)
 内藤久遠氏(59) 

 それぞれどんな具体策を示しているのか、いないのか、政策の中身を知った上で投票したいものだ。