国会ペーパーレス化に抵抗?“野党の武器”
毎年、大量の印刷物が作られる国会。その費用は年間11億円以上にのぼる。こうした慣習を改めようと、自民党の小泉進次郎議員らが11日、会合を開いた。ただ、この動きには意外な反対論も…。国会改革は進むのだろうか。
◆国会で「ペーパーレス化」…印刷経費は11億円
国会の最終盤といえば、法案採決の際に野党議員が委員長から資料を奪おうとするシーン。今後は、なくなるかもしれない!?
自民党・小泉進次郎議員(10日)「ペーパーレス。次期通常国会で検討し、早期に結論を得る」
今、国会の無駄を減らそうと、「ペーパーレス化」の動きが始まっている。国会議事堂の向かいにある、衆議院・第二別館。国会会期中の先週、その一室では、翌日採決される法案の要旨が書かれた紙を印刷しはじめていた。
実はここは、国会内で配る文書を印刷する部署で、およそ700部を用意していた。刷ったあとは、適当なサイズに裁断し、仕分けをしておよそ1時間半かけて完成。印刷された文書は、風呂敷に包まれて運ばれ、国会で議員たちの手元にわたった。
国会では、この他にも会議の議事録や政府の提出する資料などさまざまな「文書」が、日々、配布されている。その印刷にかかる経費は、衆参両院で実に11億円以上。私たちの税金が使われている。
◆「国会改革」も、与野党の議論なし
こうした中、自民党の小泉進次郎議員ら「国会改革」を掲げる議員が問題提起。
自民党・小泉進次郎議員(今年6月)「70年ぶりということになりましたが、国会の中のペーパーレスの風穴があいたのは、国会内外で国会改革の機運が高まっていることの結果だと思います」
しかし、今回の臨時国会では、国会改革をめぐる与野党の議論は、結局、一度も行われなかった。
◆「ペーパーレス化」進まぬ“意外な理由”
国会のペーパーレス化は進みづらいのか?そこには、“意外な事情”もある。
国会の終盤で、法案の採決を阻止しようと野党が提出する内閣不信任決議案など。実は、こうした決議案は、1回につき印刷などに2時間程度かかるとされている。つまり、法案採決を時間切れに持ち込みたい野党にとっては、決議案にかかる印刷時間は貴重な「抵抗手段」なのだ。
野党からはこんなホンネも…。
──不信任案はペーパーレスにできない。武器を手放す必要はないでしょ
11日、国会改革に関する自民党の会合に出席した小泉進次郎氏らは、次の国会でペーパーレス化を進めていくことなどを確認した。果たして、国会の無駄を減らす改革は進むのだろうか。