来年度予算が成立 なぜ予想外にスムーズ?背景に3つの理由
一般会計の総額が過去最大の114兆円あまりとなる来年度予算が参議院で可決・成立しました。当初、政府・与党にとって厳しい国会運営になるのではとの声もある中、予想に反して審議はスムーズに進みました。背景には3つの理由があるそうです。前野全範記者の報告です。
一連の審議で焦点となったのは、78ページに及ぶ「放送法の政治的公平性に関する総務省の行政文書」でした。この一部について高市経済安全保障担当相は「ねつ造だ」と強調し、ねつ造でなければ議員辞職する考えも示しました。
審議がスムーズだった最大の理由は、高市経済安保相のねつ造発言や、ガーシー前議員の除名問題がいわば「隠れみの」のような役割を果たしたことです。実際、ある自民党幹部は「野党が高市さんの問題だけやってくれたら楽。防衛増税とか子育ての財源とかやられた方がよっぽどやりづらい」と赤裸々に本音を語りました。
2つ目の理由は、岸田首相が外交で一定の成果を出したことです。岸田首相が日韓首脳会談やウクライナの電撃訪問などを実現しました。内閣支持率は42%まで回復。52%もあった不支持率も43%まで低下しました。
3つ目の理由は「野党の足並みの乱れ」です。ある自民党幹部が「野党はいわゆる統一教会問題のようなスキャンダルがないと結束できない」と語るように、「防衛増税反対」で共闘したはずの野党各党ですが、追及は次第に散漫になり、様々な重要課題の議論は深まりませんでした。
――Q.予算が成立して今後の政局はどう展開していく?
来月には統一地方選挙と衆参5つの補欠選挙が行われます。一方、政府・与党内からは、野党の準備が整う前に、6月の会期末までに衆議院を解散すべきとの声も出始めています。
スムーズだった予算審議が終わり、永田町には解散への警戒感や緊張感が漂い始めています。