【解説】103万円の壁“来年から引き上げ合意”背景は
今年度補正予算案をめぐり自民党、公明党の与党と国民民主党が協力することで合意しました。3党が交わした合意書では「103万円の壁は178万円を目指して来年から引き上げる」「ガソリンの暫定税率は廃止する」ことなどを盛り込んでいます。
――「103万円の壁」について、一気に結論が出たということ?
必ずしもそうとはいえないんです。まず、11日に自民・公明・国民3党の幹事長が「103万円の壁」について「178万円を目指して来年から引き上げる」と合意したのは「補正予算案」を通すための政治決着だったんです。
少数与党としては、国民民主党が掲げるこの条件をのまざるを得ないと、足元をみられた格好です。ただ、ここで注意が必要なのは、「目指して」という文言です。
国民民主党側は、主張していた「178万円になった」とご満悦でしたが、自民党側は「あくまでも、目指すだけ。具体額はまだ決まっていない」という受け止め方で、ある幹部は「この表現ぶりが大事だから」と話しています。
また、時期については、国民民主が求めていた「来年から」に決まりましたが、所得税については1月からスタートするものなので、本当に技術的に来年1月からできるのかなども不透明です。
このあたり、今後、税制調査会で詰めていくことになりますが、国民民主党と与党との間に溝が生まれる可能性もあり、その場合には、今度は来年度予算案を人質にした議論になるのか。少数与党となった自民党にとっていばらの道が続きそうです。