【解説】日朝“極秘接触”か…日本政府の反応 交渉ルートは?
韓国の大手紙「中央日報」は13日朝、日本と北朝鮮の代表団が先月、モンゴルで会談したと報じました。日本側からは政治家も参加したと伝えていますが、協議の内容については、はっきりしていません。官邸クラブ・江口友起サブキャップの解説です。
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鈴江奈々キャスター
「官邸クラブの江口サブキャップに聞きます。日本政府は実際、北朝鮮と接触しているのでしょうか」
政治部・江口友起記者
「韓国の報道について、政府関係者は明確な否定はしていません。ある外務省幹部は『なぜそんなことを知っているのか』とはぐらかしました」
「また、林官房長官は、会見で『報道は承知しているが、事柄の性質上、答えは差し控える』と述べるにとどめています」
鈴江キャスター
「なるほど。明確に認めているわけではないという状況ですが、北朝鮮との交渉は、現在、どのようなルートで行われていると考えられるでしょうか」
政治部・江口記者
「私たちの取材によると、交渉のルートは複数あります」
「一つ目は、総理直轄の、いわば『正規のルート』です。岸田総理は、これまで、日朝首脳会談の実現のために『総理直轄のハイレベルで協議を進めていく』と繰り返し述べていて、総理に近い政権の中心にいる幹部が陣頭指揮を執っています」
政治部・江口記者
「二つ目のルートは、北朝鮮と関わりを重ねてきた『政治家個人らのルート』です。国交がないだけに、北朝鮮と独自のネットワークをもった、政治家や政府のOBなどが働きかけを行うものです」
鈴江キャスター
「今回、報じられているのは、どちらの動きなのでしょうか?」
政治部・江口記者
「取材を進めると、『今回は正規ルートではないのでは』という見方が多かったです。実際、ある政府関係者は、今回、報じられた接触は、『少なくとも総理直轄の正規のルートと連動したものではない』との見方を明かしています。その上で、『総理直轄ルートではなく、首脳会談を実らせるのは難しい』と話しています」
鈴江キャスター
「そうすると、総理直轄の正規のルートの動きは現状、どうなっているのでしょうか」
政治部・江口記者
「水面下の動きはあります。ある政権幹部は『今の膠着(こうちゃく)状態は打破しないといけない。首脳会談は必ず実現したい』と話すなど、北朝鮮側との接触を試みていることは認めています」
「総理が拉致問題の解決を目指して、日朝首脳会談に強い意欲を示しているだけに、この正規ルートでも模索されているのは間違いありません」
鈴江キャスター
「拉致被害者のご家族の皆さんは、待ち続けています。首脳会談が実現し、拉致問題が動く可能性はあるのでしょうか」
政治部・江口記者
「決して楽観的な状況ではありません。ある政府関係者は、『北朝鮮は今、ロシアと近づきすぎて、日本との対話が必要な状況ではない』と指摘していました」
「つまり、北朝鮮側は今、ロシアに頼れるので、日本から経済協力などを得ようと関係改善に積極的になる状況にはないというわけです」
「拉致被害者や家族が高齢化する中で、北朝鮮との交渉の進展が急がれていますが、なかなか明るい見通しは立っていないのが現状です」