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【解説】規正法改正・採決見送りに 局面打開への3つの“シナリオ” 岸田総理は?

2024年6月4日 20:23
【解説】規正法改正・採決見送りに 局面打開への3つの“シナリオ” 岸田総理は?

今の国会の最重要法案、政治資金規正法の改正をめぐり「待った」がかかりました。4日に行われるはずだった衆議院の委員会採決が、一転、5日に見送られました。政治部官邸キャップの平本典昭記者が解説します。

   ◇

──何があったのか?

政治部官邸キャップ 平本典昭記者
「今回の事態は『想定外』という言葉では軽すぎて、『前代未聞』と言う人さえいるトラブルです。修正案は4日の採決で一度は与野党が合意しました。しかし、賛成の方針を示していた日本維新の会が、3日になって突然『修正が不十分』と注文をつけました。自民党は法案の再修正を強いられ、採決が5日に先送りされる事態となったわけです」

平本キャップ
「そもそも、今回の採決は、岸田総理が自ら動いて、トップ会談で維新の合意を取り付けたものでした。さらに、4日に総理が質疑に出席することまで決まっていたのに、どんでん返しとなりました。これが、国会運営上『前代未聞』というわけです」

「身内の自民党議員も呆れている感じすらあります。ある自民党幹部からは『メチャクチャだ』と、厳しい声があります。さらに、閣僚経験者からは『政権末期の感じだ』という声すら聞こえてきています」

■岸田総理、今後のシナリオは…?

──追い込まれた状況の岸田総理は今後、どんなシナリオを描いているのか。

平本キャップ
「いま言われているのは3つのシナリオです。1つ目は衆議院の『解散総選挙』、2つ目は党役員や内閣改造などの『人事』、3つ目は“体力回復”して総裁選で再選を狙うというものです」

■衆議院の「解散総選挙」は?

平本キャップ
「1つ目ですが、6月23日までの今の国会の会期末に衆議院の解散総選挙に踏み切るのでは、という見方がくすぶっています。ある自民党幹部は『総理は解散をしたいんだろう』と指摘しています。その根拠は、岸田総理の先週のある判断に基づいています」

「規正法の改正をめぐって自民党案と公明・維新案が対立しましたが、岸田総理は厳しい規制を求める公明・維新を選ぶ決断を下しました。この判断は、見方を変えると岸田総理は自民党の議員たちではなく、公明・維新、そして厳しい規制を求める世論にウェイトを置いたわけです。この判断を見て『自民党議員でなく、世論の支持を得る選択をした』、つまり『解散を狙っている』という見方が出たわけです」

「ただ、今の低い支持率では自民党議員の大半は『冗談じゃない、大敗する』とネガティブです。ある総理側近議員ですら『解散なんてやれる状況でない』と話しています」

──解散は岸田総理の“専権事項”なので、総理がどう判断するかということなのか?

平本キャップ
「そうです。ただやはり『厳しい』という見方を自民党議員から多く聞くのが現状です」

■人事着手? 幹事長交代は…

──そして2つ目のシナリオ、党役員・内閣改造の人事ですが、具体的には誰を変えるとみられているのか。

平本キャップ
「今、一番言われてるのは、茂木幹事長の交代です。いまのチーム岸田の混乱は岸田総理と茂木幹事長のギクシャクした関係が影響していると見られています。ある総理側近議員は『ゴタゴタの根本原因を変えるべき』と次の幹事長探しに動いています」

──“この人”という候補者はいるのか?

平本キャップ
「いま最も有力なのは石破茂氏です。新しい顔で刷新感を出し反転攻勢を狙う戦略と見られます」

「実は、石破氏にもその声は届いていて、石破さんは周辺に対して『打診を受けたら、受けないとは言いづらい…』と悩んでいる様子です。一方、石破さんに『受けるべきでない』と忠告する動きも出ています」

「ただ人事にはリスクも伴います。仮に意中の人に断られれば『岸田さんは見離された』と求心力は一気に低下します。人事も簡単ではありません」

■“体力回復”狙う「総裁選再選」

──そして、3つ目。体力回復、総裁選での再選を目指すということですが、9月の総裁選で再選というのも簡単ではない状況でしょうか?

平本キャップ
「簡単ではないのですが、岸田総理の周辺からは、このシナリオを推す声があります。総理周辺は『有力なポスト岸田はいない。総裁選を行えば勝てる』とみています。ただ、党内を広く取材すると、総理サイドのこうした『見立て』は“甘い”という声が多いです」

「何より、総裁選で投票権を持つ自民党議員の岸田総理に対する不満はたまりまくっています。選挙で勝てる『新たな顔』の待望論は今後、高まると思います」

「さらに、ある閣僚経験者は今の混乱ぶりから『総裁選に出る前に退陣に追い込まれる』と予測しています。岸田総理にとってどの道を進むにしても、厳しい状況と言えます」

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