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河野大臣“慣例”に「やめたらいい」と苦言

2020年9月17日 21:54
河野大臣“慣例”に「やめたらいい」と苦言

菅新内閣が発足し、17日から本格始動となりました。

今回の内閣の中でも非常に重用されている閣僚の1人が、河野太郎行政改革担当大臣です。

その河野大臣、就任会見で早々に苦言を呈しました。

「やめたらいい」と述べた、ある慣例とは?

■菅首相が意気込む「規制改革」

17日朝、菅首相は意気込みを述べました。

「まさに身の引き締まる思いであります。国民のために働く内閣をスタートさせて、しっかりとした成果をあげて、国民の期待にお応えをしたいと思います」

菅首相が特に力を入れているのが「規制改革」です。

菅首相「行政の縦割り、既得権益、そして悪しき前例主義、こうしたものを打ち破って、規制改革を全力で進めます」

このように菅首相は規制改革を政権のど真ん中に置くと強調しました。そして、省庁の縦割り打破をかかげていて、河野行革担当大臣に対して「国民が縦割り行政について情報提供できる“縦割り110番”のようなものを設置し、国民からの声を参考にしてはどうか」と指示しました。

■“縦割り110番”とは?

17日朝、河野大臣は「ご意見をお寄せください、と言えばいいだけの話ですから、もうやろうかと思っている」と述べました。

具体的なやり方については、コールセンターの設置ではなく、「SNS」を活用する考えです。すでにネット上では、“#縦割り110番”というのができていて、実際にツイートも飛び交っています。

「同じ内容の調査がいろんな省庁から出ている。やめてほしい」

「幼稚園は文科省、保育園は厚労省、認定こども園は内閣府。行政の統一を!」

など、すでに反響がでています。

そして河野大臣は「自らの公式ホームページに行政改革目安箱を立ち上げた」と発表しました。縦割り行政で困っていることについて、情報を送ってほしいとツイートしています。

■河野大臣「さっさとやめたらいいと思います」

規制改革をめぐり河野大臣は、17日午前1時から行われた会見で苦言を呈しました。

「例えばこの記者会見も、各省に大臣が散ってやりゃあ、もう今ごろみんな終わって寝ていますよ

ね。それを延々ここでやるっていうのは前例主義、既得権、権威主義の最たるものだと思いますので、こんなものさっさとやめたらいいと思います」

大胆な提案をしたわけですが、なぜ深夜に会見が行われるのでしょうか。16日のスケジュールを見てみます。

午前9時から、臨時閣議で安倍内閣が総辞職。その後、総理大臣の指名選挙。閣僚名簿の発表。皇居で菅総理大臣の親任式に続いて、閣僚の認証式。菅総理の初会見。初めての閣議が行われ、記念撮影。

その後に、新閣僚の就任会見が順番に始まりました。一番手の加藤官房長官が始まったのが午後10時50分すぎ。最後の井上万博大臣は、午前1時40分から開始となりました。その後さらに、担当省庁で会見する閣僚もいたのです。

深夜に及ぶ会見は慣例となっているのですが、これを河野大臣は「前例主義、権威主義の最たるものだ。やめたらいい」と述べたわけです。加藤官房長官は17日、「新大臣がどういう思いで取り組んでいくのか表明する大事な機会。ご意見を賜りながら検討していきたい」と述べています。

■重用される河野行革担当大臣

河野大臣ですが、菅総理は今回の内閣の中でも非常に重用している閣僚の1人です。それが国会の席順からも見えてきます。

国会の両院本会議場で閣僚が座る席、ひな壇と呼ばれているのですが、中央の演壇をはさんで両側に閣僚らがずらりと並んでいます。

これまでの安倍内閣での席順は、議場から見て中央演壇の左側に安部総理、麻生副総理、茂木外務大臣、菅官房長官、そして演壇を挟んで右側の総理から近い位置に高市総務大臣、赤羽国交大臣、と座っていました。

菅内閣では、菅総理、麻生副総理、茂木外務大臣、加藤官房長官と同じ役職が並びますが、演壇を挟んで総理の左側には総務大臣ではなく、行革担当大臣の河野さんが座ることになりました。

官邸によると、座席の決め方に特に決まったルールがあるわけではなく、当選回数や閣僚経験、国会に呼ばれる順番などを加味して内閣が決めているとのことです。

この菅総理と比較的近い席に河野行革担当大臣が座るということは、菅政権が河野さん本人にも次のリーダーとして大きな期待をかけていることが読み取れます。

もう一つ、閣議の前に集まる応接室の席順にも注目です。ナンバー2とされる総理の左隣には麻生副総理、ナンバー3とされる右隣には茂木外務大臣と、ここまでは変化はありません。

ただ、麻生大臣の隣が河野大臣の席になりました。これまでの行革担当大臣は後ろの方の席でした。菅内閣ではカメラにもよく映る、目立つ席に移っています。

縦割りや前例主義といった政治の悪しき慣習の打破を掲げて船出した新政権。前政権からの負の遺産に加え、コロナ対策など課題は山積しています。かけ声だけに終わらぬよう、真の手腕が問われています。

(2020年9月17日 16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)