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政治
2020年12月29日 19:14

コロナで停滞する外交2021年どうなる?

■2020年、コロナ禍で国際会議は軒並みオンライン開催に…
2020年、新型コロナウイルスの感染拡大で国際社会は対面外交がほとんどできないという未曽有の事態に追い込まれた。

特に新型コロナが国際会議に与えた影響は大きく、G7サミット、G20サミット、国連総会などが相次いでバーチャルでのオンライン開催に追い込まれ、世界の外交活動はかつてなく停滞した。

国際会議が対面の形で開催できないため、突っ込んだ議論や会議の合間での一対一の首脳間の直接交渉などができず、外交は事前調整通りの予定調和の進行、ダイナミックな展開のない状態となった。

■1月20日バイデン次期大統領就任 当初はコロナ&内政重視か2021年は1月20日にアメリカのバイデン次期大統領の就任式が行われ、新政権が正式にスタートする。

しかし、外交関係者の間ではバイデン政権は当初は、新型コロナ対策とアメリカ国内の内政を重視し、外交上で大きな動きが出てくるのは春以降にずれ込むとの見方が大勢だ。

バイデン氏は就任後100日以内に気候変動に関するサミットを開催することを選挙公約にしているが、この会合もコロナ禍のためオンライン開催となる見通しが強まっている。

■5月にシンガポールで開かれるダボス会議が試金石?
こうした中、大規模な国際会議再開に向けた試金石となりそうなのが5月に行われる世界経済フォーラムの年次総会、いわゆるダボス会議だ。

この会議は通常1月にスイスのダボスに世界各国の政治・経済のリーダーが多数集まるためダボス会議と呼ばれているが、2021年はスイス開催を断念し、5月にコロナの感染状況が比較的落ち着いているシンガポールで開催されることが決まっている。

5月の段階でシンガポールに各国の首脳がどの程度集まれる状況になっているのか?2021年上半期の外交上の注目点となりそうだ。

■東京五輪・パラ開催の鍵は3月の京都コングレス会議
一方で、日本国内に目を向けると、夏の東京オリンピック・パラリンピック開催をにらみ、3月に京都で開かれる予定のコングレス(国連犯罪防止刑事司法会議)を無事開催できるかが鍵となる。

コングレスの日本開催はおよそ50年ぶりで、海外から1000人以上の関係者が日本を訪問する予定になっている。現在、法務省を中心に準備が進められているが、会議の失敗は東京五輪開催への不安に直結するため、新型コロナの水際対策・感染防止など政府一丸となった会議運営が求められる。

■G7&G20サミットはどちらもヨーロッパで 開催できる?
そして国際会議と言えばなんといってもG7サミットとG20サミットだが、2021年はG7の議長国はイギリス、G20の議長国はイタリアで、どちらもヨーロッパで開催される。

イギリスは既にG7サミットにインド、オーストラリア、韓国の3か国を招待国として招くことを発表し、開催に強い意欲を示しているが、通常、開催時期となる夏前までに新型コロナの感染を収束させることができるかがポイントとなる。

G20サミットは10月末にイタリア・ローマで開催される予定で、この頃までには世界レベルでワクチン接種が進んでいることが期待される。

■2021年の菅外交 近隣諸国とは課題だらけ
一方で、菅政権にとっては2021年、まず最初の外交課題となるのがバイデン次期大統領との日米首脳会談の早期開催だ。

日本政府はバイデン氏の正式就任後、2月中に菅首相が訪米し、首脳会談を開催することを目指しているが、高齢のバイデン氏は新型コロナへの感染を警戒し、各国首脳との早期の対面外交には慎重な姿勢を取っており、具体的な日程調整は進んでいない。

その後の首脳外交は新型コロナの感染状況次第となるが、近隣諸国との外交は難しい課題だらけの状態が続いている。

まず韓国との間ではいわゆる元徴用工を巡る問題解決のメドが立たず、韓国で開催予定の日中韓サミットが開けない状態が続いている。

中国との間でも尖閣諸島周辺で中国公船の領海侵入が繰り返される中、延期となったままの習近平・国家主席の国賓来日の再調整に向けた動きも取りづらく、膠着(こうちゃく)状態が続いている。

また北朝鮮による拉致問題、ロシアとの間の北方領土交渉など一筋縄ではいかない外交課題が山積している。

■WTOの機能不全が長期化…難局続く世界の経済外交
そして2021年、難しい状況が続く見通しとなっているのがコロナからの経済回復のかじ取りを担う、いわゆる経済外交だ。

WTO(=世界貿易機関)は紛争処理を担う上級委員会が開けず、機能不全が長期化している上、突然辞任したアゼベド事務局長の後任を決めることすらできない状態に陥っている。多国間主義に基づくWTO体制は崩壊寸前の瀬戸際に追い込まれているが、米・バイデン新政権は新型コロナや国内経済対策を優先し、経済外交や通商政策は後回しにされる可能性が高く、厳しい状況が続きそうだ。

■TPPは日本が議長国。参加に意欲の中国・韓国とどう向き合う?
こうした中、2021年は日本にとって経済外交の面で主導権を握るチャンスが訪れる。というのも日本がTPP(=環太平洋経済連携協定)の議長国をつとめることになっているのだ。

TPPをめぐってはバイデン政権のもとでもアメリカの早期復帰が困難とみられる中、中国と韓国が相次いで参加への関心を表明するなど、各国の駆け引きが活発化している。

ここ数年、世界の経済外交で存在感を高めている日本がさらなるリーダーシップを発揮できるのか、真価が問われる1年となる。