自民党が“新たな壁”──「160万円」「133万円」で減税額は? 国民民主「いかがなものか」 異例…与党の公明まで反対
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私たちの手取りに影響する「年収の壁」問題を巡り、議論が難航しています。自民党は新たな壁を持ち出し、国民民主党と協議しましたが、合意に至りませんでした。与党の公明党も同調して反対する異例の事態に。自民党案では減税額はどうなるのでしょうか?
藤井貴彦キャスター
「いわゆる『103万円の壁』について、19日も与党と国民民主党で協議が行われましたが、またも合意に至りませんでした。今問題となっているのが、新たに出てきた『160万円』と『133万円』という壁です。壁がありすぎるように思いますが、どういうことなのでしょう」
小栗泉・日本テレビ解説委員長
「18日に自民党が出した『160万円』という新たな壁ですが、年収が200万円相当以下の場合だけ適用されるという条件があります。さらに、『133万円』という壁については、年収が200万円~500万円相当以下の場合は2年間に限り引き上げるとされています」
「結局、それぞれの壁によって私たちの手取りがどう変わるのか見ていきます」
小栗委員長
「大和総研の是枝俊悟主任研究員の試算によると、例えば国民民主党の案である『178万円』まで引き上げられた場合、年収500万円の人は年間13万3000円が減税され、つまり手取りが増えることになります」
「一方で昨年末に与党が提案した『123万円』の場合は1万円と、10分の1以下の減税になります。では、今回自民党が新たに示した壁で手取りはどうなるのでしょうか?」
「試算では、年収200万円の人は(160万円の壁が適用され)2万4000円減税されます。年収500万円の人は『133万円の壁』が適用されて2万円の減税です。一方、年収800万円の人はもともとの与党案(『123万円の壁』)と同じ2万円の減税となります」
藤井キャスター
「もともとは手取りを増やそうと始まった壁の撤廃ですが、所得が低い人ほど恩恵を受けやすいということですね」
小栗委員長
「それぞれの壁を引き上げることで必要になる財源については、『178万円』の場合は約7.3兆円、『160万円』なら約1.1兆円と7分の1になります。『123万円』の場合は約0.6兆円がかかる見込みだということです」
藤井キャスター
「必要な財源にも大分差があるように思いますが、結局はどうなりそうなのでしょうか?」
小栗委員長
「国民民主党は『新たな壁を作るのはいかがなものか』として、線引きをなくし、一律で引き上げるよう改めて求めています」
「今回異例なのは、与党の公明党も同調して反対していることです。ある公明党の幹部からは『公明党案を出すことも本気で考えないといけないかもしれない』という声も上がっています」
「自民党は維新とも予算案の修正を巡って協議していますが、まずは足元の公明党、そして国民民主党をどう説得して味方につけるのか。20日も協議することにしています」
かしゆか(Perfume・『news zero』水曜パートナー)
「『手取りを増やす』と始めた話なのに、大半の方が手取りが増えたと実感できない話になっているような気がします。一体誰のために、何のためにやっているのかがわからなくなってきましたが、これはこのまま、私たちは見守ることしかできないのでしょうか?」
小栗委員長
「与党は今週中に決着を目指すとしていて、私たちはもう見守るしかありません。ただ、今行われているこの議論をよく見て、その後の選挙でどの政党の言っていることが良かったか、有権者として意思を示すことはできますよね」
かしゆか
「今年の7月には(参議院)選挙もあります。本当に国民のためになっているのか、壁の内容を見届けたいなと思いました」
(2月19日『news zero』より)