中国海警局の船接近せず…対応変化の理由は
今週、尖閣諸島で撮影された中国海警局の船。大型の武器のようなものが搭載されています。一方、中国側の船の動きには、“ある変化”がおきていました。
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尖閣諸島の現状を発信している石垣市の仲間均市議。10日、自身が所有する「鶴丸」で尖閣諸島に向かいました。仲間市議が尖閣諸島で漁を行うのは今年に入って3度目。接続水域に近づくと船首に青色のラインが入った日本の巡視船が周囲を固めます。
すると…。「鶴丸」の左側に船首に赤のラインが入った中国海警局の船が現れました。中国海警局の船は右側にも現れ、2隻で「鶴丸」を追尾します。
この右側に現れた船を仲間市議が望遠レンズで撮影したところ、大型の武器のようなものを搭載していることがわかりました。
仲間市議が、武器を搭載した中国海警局の船を見るのは初めてのことです。追尾したまま日本の領海に侵入するのはこれまでどおりでしたが、仲間市議が漁を始めたとき異変はおこりました。
中国海警局の船が、まったく近づいてこないのです。およそ1か月前に仲間市議が撮影した映像では、中国海警局の船が漁を妨害するかのように接近、海上保安庁の巡視船が間に割って入るほどでした。しかし、今回はカメラで捉えるのが難しいほど、距離をとっています。
仲間市議は、「映像を撮らせたくないんじゃないかな、日本がこれだけ騒いでいるから」と指摘しました。
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専門家は中国側の対応の変化をこう分析します。
笹川平和財団・小原凡司上席研究員「一般的に海警局の船は、エスカレートする方向へは自動的に動きがちですが、抑制する側には自動的には動かないのが普通です。習近平氏の意向が働いている、と考えるのが適切だと思います」
習近平国家主席の意向。外交面でも想定外の状況になっている、との声があがっています。台湾問題に触れた日米首脳会談の直後には中国側が圧力を強めてくると、日本政府は身構えていましたが。政府関係者は、「拍子抜けするほど何も反応がない」ということです。
日本とアメリカが、ヨーロッパなどと“中国包囲網”を形成するなか、中国はどのような戦略を練っているのでしょうか。
笹川平和財団・小原凡司上席研究員「日本に対してあまり強く出ると、アメリカにより近づけてしまう恐れがある。なんとか日本の世論に働きかけて、あるいは日本の経済界に働きかけて、日本の政府の政策を少しアメリカから離したいと」
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長年、中国側の動きを見てきた仲間市議は、「(日本の世論で)熱しやすく冷めやすいのが尖閣問題だから、国民が関心持たない限りはダメですよ」ということです。