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きょう岸田政権発足から1年 「信頼」問われる岸田首相の今

2022年10月4日 6:00
きょう岸田政権発足から1年 「信頼」問われる岸田首相の今
総裁選の立候補会見「岸田ノート」

10月4日で発足から1年となった岸田政権。内閣支持率が政権発足以来、最低を記録する中、国民の「信頼」が揺らいでいる。

■支持率低迷 最大の正念場に

10月4日で発足から1年を迎えた岸田政権。NNNと読売新聞が今月1日、2日に行った世論調査では内閣支持率は45%で、政権発足以来、最低となった。

「支持しない」は46%と、こちらも発足以来、最も高くなり、「支持する」を初めて上回った。

「聞く力」を掲げ、2回の国政選挙で勝利したのもつかの間、最大の正念場を迎える岸田政権の1年を、世論調査の数字と共に振り返ってみたい。

■少なかった「ご祝儀」

第一次岸田政権が発足したのは2021年の10月4日。直前の世論調査で支持率が31%まで低迷していた菅政権の後を受け、誕生した。

当時、与党内からは直後に予定される衆議院選挙を前に、支持率の大幅アップを期待する声が多かったが政権発足直後の支持率は56%にとどまった。

新しい政権が発足すると、支持率が大幅に改善することが多く、これを、いわゆる「ご祝儀」と呼ぶ。実際、2020年に菅政権が誕生した直後の調査では「ご祝儀」で支持率は74%に跳ね上がった。これに対し岸田政権は56%。「ご祝儀」は控え目だったと言える。

自民党内からは「思ったよりも支持率が低い。本当に選挙で勝てるのか」と落胆の声があがったほか、岸田首相も周辺に対し、「最初から大きな期待をしても仕方がない。とにかくしっかりやっていくしかない」と語っていた。

■「50点だと思ったら、70点だった」

ところが、岸田内閣の支持率は、ここから徐々に上昇を始める。2021年の10月に、衆議院選挙に勝利。

11月末には、世界で感染が広がり始めていた新型コロナウイルスのオミクロン株への対応で全世界を対象に、外国人の日本への新規入国を原則停止する措置などが一定の評価を得て支持率を62%まで上昇させて、2021年を終えた。

2022年に入っても高支持率が続く。

1月以降、国内ではオミクロン株が全国的に拡大し、過去最多の新規感染者数を記録。

2月にはロシアによるウクライナ侵攻が始まりその後は、国内経済が物価高に見舞われるなど、政権にとって逆風となりかねない事案も数多く起きたが、「支持する」は7月の調査まで常に6割前後をキープし、「支持しない」は2割台にとどまった。

発足から9か月連続で支持率が50%を超えたのは、1978年以降の調査で、小泉内閣と第2次安倍内閣のみ。岸田政権は、3例目となった。勢いそのままに、7月の参議院選挙で勝利し、国政選挙2連勝を飾った。

当時、好調の要因を首相周辺に尋ねると、面白い答えが返ってきた。

「岸田政権は、始まったときの期待値が低くて、国民から見て、『50点くらい』だろうと思っていたら、『70点くらい』取っている。 だから『思ったよりやるじゃん』となって、支持率があがっているのだと思う」また、「岸田首相の温厚な人柄が徐々に国民に理解され、支持率につながっている」とも分析した。

そういった側面は、確かにあったと思う。ただ、それは裏を返せば、独自の政策や大きな実績ではなく、賛否が分かれる政策には取り組まない無難さや、首相の人柄への評価が支持につながったということであり、国民の信頼を失えば、支持率が急落する危険性をはらんでいたと言える。

■甘く見た“統一教会”への対応

好調な支持率は7月を境に一変する。7月8日に発生した安倍元首相の銃撃事件に端を発し、いわゆる統一教会と、自民党議員らの関係が大きくクローズアップされ始めたからだ。

しかし当初、岸田首相の周辺はこの問題を楽観していた。

「いわゆる統一教会の問題は、ほとんどが自民党・安倍派の問題。岸田首相本人はどんなに調べられても教団との関係性は出てこないから、政権支持率への影響は少ないだろう」

この楽観論が政権に最大の危機をもたらすことになる。

いわゆる統一教会の問題は、その後、安倍派にとどまるどころか、自民党全体に波及した。しかし、岸田首相や周辺は所属議員への調査に慎重な姿勢を示すなど、“初動対応”が鈍かった。

そして支持率の急落が始まった。7月に65%だった支持率は、1か月後に8ポイント落ちて57%となった。

岸田首相は8月に内閣改造を行い、「岸田政権においては、当該団体との関係について、自ら点検し、厳正に見直していただくことが、 新閣僚あるいは党役員等においても前提となる」と宣言するも、その後も教団と閣僚らの新たな接点が次々と発覚。内閣改造後の調査で支持率はさらに6ポイント落ちて51%となった。

その後、自民党は所属する国会議員と教団との関係についてアンケート結果を公表し、茂木幹事長が「旧統一教会と一切関係持たないことを党内に徹底をしていく」と宣言したが、結果の公表後に調査漏れが指摘されるなど、問題の幕引きとはならなかった。

10月の世論調査では、岸田首相は、この問題に指導力を発揮していると「思わない」が80%に達するなど、支持率低下の大きな要因となった。

また、同時期に政権の悩みの種となったのは安倍元首相の国葬をめぐる問題だった。

8月の世論調査では「評価する」が49%で「評価しない」を上回っていた。しかし、国葬を行う法的根拠、費用の問題さらには安倍首相と教団との関係が指摘され9月になると、「評価する」は38%で「評価しない」が56%となり、逆転した。

岸田首相の周辺は「国葬の問題も、つまりは統一教会の問題だ。安倍元首相と教団の関係が指摘されたことで、国葬に反対する声が増えた」と分析する。

「統一教会の問題が終わらないと支持率はあがらない。だが、できることはもうあまり残っていない」周辺は、ため息をもらした。

岸田政権について、世論調査の「ある数字」に着目してみたい。内閣を「支持する」か「支持しない」かを尋ねた後に、その理由について聞く問いがある。

その中で、「支持する」とした人のうち、「首相が信頼できる」からと回答した人の割合と、「支持しない」の中で「首相が信頼できない」からと回答した人の割合に注目する。

政権が発足した2021年10月には「首相が信頼できる」は15%だったが、22年10月には5ポイント減って10%となっている。

一方、「首相が信頼できない」は21年10月に10%だったのに対し、 22年10月には14%となっている。

内閣を支持する理由の中で「首相が信頼できる」の割合が減り、支持しない理由の中で「首相が信頼できない」の割合が増えているのだ。

2021年に自民党の総裁選挙に立候補した際、当時の菅政権の支持率低迷を背景に、「信なくば立たず」と述べ、国民からの「信頼」の重要性を説いた岸田首相だが、1年が経ち、自らへの「信頼」が揺らいでいる。

いわゆる統一教会をめぐる問題や物価高・円安など山積する課題に対応し、国民の「信頼」を取り戻せるのか。2年目に突入した岸田政権の真価が問われている。