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蓮舫氏の都知事選 「夏の挑戦」「批判ばかり」「いかがでしょうか」演説に狙いが?【#みんなのギモン】

2024年6月12日 13:48
蓮舫氏の都知事選 「夏の挑戦」「批判ばかり」「いかがでしょうか」演説に狙いが?【#みんなのギモン】
7月の東京都知事選挙に出馬表明した蓮舫参議院議員が積極的に街頭演説を行っています。応援の議員も駆けつけ飛び出す言葉は「知事に当選させて」「負けたくない」。これは本来禁じられている告示前の選挙活動なのでは?それともギリギリの表現?演説を分析すると見えてきた狙いとは。(調査報道班 小野高弘 菊地庸太)

■「夏の挑戦」「助けていただきたい」

6月2日、大勢の人が行き交う日曜の東京・有楽町。蓮舫氏は立憲民主党の枝野幸男前代表とともに街頭に立ちました。

枝野氏は「スタートダッシュの街頭演説会」だとした上で、冒頭からこう呼びかけます。

「蓮舫さんの勇気あるチャレンジ。みなさんの力で知事に当選させていただきたい」「蓮舫さんを勝たせましょう」

そして蓮舫氏本人が続きます。

「七夕に予定されている東京都知事選に蓮舫は挑戦します。皆さんのご支援どうかよろしくお願いします」

そして小池都知事を「現職の知事」と表現して、この8年間で「残業ゼロ」「介護離職ゼロ」などの公約が果たされていないと批判を展開し、「東京都のトップになって改革したい」と訴えました。

立候補表明後、初の街頭演説ということもあり白熱した演説です。

その1週間後の日曜日、蓮舫氏はJR阿佐ヶ谷駅前に登場しました。すると変化が。出た言葉は

「東京都のために仕事をしていきたいと思っていますがいかがでしょうか」「夏の挑戦を言わせていただいた」「挑戦する思いを今一度強くしている。相手はまだ声をあげていないが、自民党が支援すると決めている人に絶対に負けたくない。皆さん、助けていただきたい」

有楽町と比べると「都知事選への挑戦」という言葉は消えて「夏の挑戦」に、「ご支援を」という言葉は消えて「助けていただきたい」に、ぼやかされています。

■「意図的に」指摘も

公職選挙法は選挙運動を行える期間について、告示日に立候補を届け出てから投票日前日までに限定しています。この期間内でないと投票を呼びかける行為をできないのがルールなのです。このため蓮舫氏らの有楽町での演説は、告示前の事前運動にあたるのではないかとネット上や一部の議員などから指摘があがったのです。

蓮舫氏自身は8日、事前運動の可能性があると記者団に問われると一言、「政治活動の発言です」とだけ答えました。

公職選挙法に詳しい日本大学法学部の安野修右専任講師によると、「①選挙の特定」「②候補者の特定」「③投票依頼」の3つの要件が含まれていた場合、事前運動だとみなされるといいます。

蓮舫氏の有楽町での演説を分析してもらうと、「この夏、七夕に予定されている東京都知事選(要件①)に蓮舫(要件②)は挑戦します。皆さんのご支援、どうかよろしくお願いいたします(要件③の可能性)」

「都知事として皆さんに使って頂きたいと思います(要件③の可能性)」 要件①②は文脈から明らか

応援にたった枝野氏の演説についても「立ち上がった蓮舫さん(要件②)を皆さんの力でなんとしても押し上げて(要件③の可能性)いただきたい」 要件①は文脈から明らか

「みんなで蓮舫さん(要件②)を勝たせましょう(要件③の可能性)」 要件①は文脈から明らか

このことから安野専任講師は「公選法に抵触する可能性が高い」と見ています。

また公職選挙法に詳しい元検事の亀井正貴氏は「明確な警告対象ではあるが、演説だけでは事前運動として検挙されることはほぼない」と話しています。

ただ、安野専門講師はこうも指摘します。

「検挙される事例は少ないですが、政治家の中には過失で危うい発言をする人は多いと思います。でも蓮舫さんや枝野さんぐらいの経験がある人は、意図的でなければこんな発言はしないと思います。その意味で確信犯的なものを感じています」

その上で、ぼやかした表現になった阿佐ヶ谷駅前での演説については…

「何度も繰り返せば警察からの警告もあるため、内容を変えたのではないでしょうか」

■「批判ばかり」払拭狙う?

そして蓮舫氏のこれまでの2回の街頭演説からは、ある狙いが見えてきます。

出馬表明後の「スタートダッシュ」と位置づけられた有楽町での約10分間の演説で多く使われた言葉は「批判」でした。4回出てきました。

「これは批判じゃない」「批判じゃないでしょう、ファクトでしょう」「何かあれば蓮舫は批判ばかりと言う、そうでしょうか」

国会論戦で野党の急先鋒として数々の批判を口にしてきた蓮舫氏ですが、都知事選を戦うにあたり、まずはその「批判イメージ」の払拭を狙っているとみられます。

そして次の阿佐ヶ谷駅前での約10分間の演説で多く使われた言葉は「いかがでしょうか」。7回出てきました。

「~見直しをさせていただきたいですが、いかがでしょうか」「事業者に再計画を出させるところから始めたいと思いますが、いかがでしょうか」

テーマごとに必ず最後に「いかがでしょうか」と加える徹底ぶり。都民の声に耳を傾ける姿勢を印象づける狙いがあるとみられます。

「批判の急先鋒」から「聞く耳を持つ」へ。蓮舫氏は今後、どのような公約をどんな言葉で発信していくのでしょうか。

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