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松野官房長官 午後会見(6月6日) UAE閣僚に原油増産の協力要請

2022年6月6日 17:50
松野官房長官 午後会見(6月6日) UAE閣僚に原油増産の協力要請

松野官房長官は6日午後の会見で、UAEのジャーベル産業・先端技術相との会談で、引き続き、原油市場の安定化と増産に向けた協力を要請したことを明らかにしました。これに対し、ジャーベル大臣からは「国際原油市場の安定化や脱炭素に向けた取り組みを含めて、日本を強く支えていきたい」との意向が示されたということです。

<会見トピックス>
▽UAE産業・先端技術大臣による長官表敬
▽リトアニア外相による長官表敬
▽反撃能力
▽知床遊覧船
▽ウクライナ情勢
▽骨太の方針

会見の概要は以下の通りです。

――UAEのジャーベル産業・先端技術相とリトアニアのランズベルギス外相との面会について。先ほど長官は、両名とそれぞれ官邸で面会した。ロシアのウクライナ侵攻やそれに伴う原油価格高騰も議論になったと思うが、具体的なやり取りは。

○松野官房長官
本日午前11時40分から約30分間、UAEのジャーベル産業・先端技術相の表敬を受け、2国間情勢および中東地域情勢等について意見交換を行いました。

私からUAEからの原油の安定供給および日本企業の原油の上流開発等への参画に対し謝意を表明するとともに、先日、2日のOPECプラスによる原油増産の決定を歓迎し、引き続き原油市場の安定化と増産に向けた協力を要請をいたしました。

これに対し、ジャーベル大臣からは、外交関係50周年の機会を捉えて、日本との関係を一層強化をしていきたい、日本とUAEの戦略的パートナー関係は強固であり、国際原油市場の安定化や脱炭素に向けた取り組みを含めて、日本を強く支えていきたいとの意向が示されたところであります。

さらに、ウクライナ侵攻を受けた国際社会の連携、北朝鮮等の地域情勢についても意見交換を行い、昨日5日の弾道ミサイル発射をはじめとする核ミサイル問題や、拉致問題を含む北朝鮮への対応について、引き続き連携していくことを確認をしました。

また、先ほど午後2時30分から約30分間、ランズベルギス・リトアニア共和国外務大臣の表敬を受けたところであります。

私からロシアのウクライナの侵略により、欧州の安全保障関係が激変する中におけるランズベルギス大臣の初訪日を歓迎をする、日本とリトアニアは、杉浦千畝氏の命のビザをはじめとする歴史的絆を有し、自由民主主義、法の支配、人権といった基本的価値を共有している旨を述べ、大臣との間で本年で友好100周年を迎える2国間関係をさらに高いレベルに引き上げていくとともに、ロシアのウクライナ侵略への対応や、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて連携を強化していくことで一致をいたしました。

また、私から、ロシアのウクライナ侵略は欧州のみならずアジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であり、力による一方的な現状変更は世界のどこであれ認められない旨述べ、大臣との間で基本的価値を共有する国々の結束がかつてなく重要となっているとの認識を共有をし、日本とリトアニアは緊密に連携していくことを確認をいたしました。

さらに、私と大臣との間で地域情勢についても議論を行い、リトアニアに対する経済的威圧や、昨日の弾道ミサイル発射をはじめとする核ミサイル問題や拉致問題を含む北朝鮮への対応等について、引き続き、連携していくこと等を確認をしたところであります。

――リトアニア外相の表敬の関連。今、説明の中で、リトアニアに対する経済的威圧についてお話があったと。リトアニアは台湾の呼称を認めて、窓口機関の開設などで台湾との関係強化を進めており、中国から外交的貿易制限措置などさまざまな事実上の制裁措置を受けている。この一連の動きについて、どのようなやり取りがあったのか。また、アメリカやEUなどはリトアニアを支持する姿勢を示しているが、日本政府の方針や立場を長官から説明する機会があったか。

○松野官房長官
会談の中でリトアニアに対する経済的威圧を含め地域情勢について意見交換を行いましたが、詳細は外交上のやり取りのため、差し控えさせていただきたいと思います。

――UAEのジャーベル氏との会談の関連で。長官の方からさらなる増産への協力を呼びかけたということだが、ウクライナ情勢の影響で原油価格は高止まりしている。日本政府として今後どのように取り組んでいくか。

○松野官房長官
引き続き、原油市場安定化のため、IEAをはじめとする国際機関や主要消費国と連携を強化しつつ、産油国に対する増産の働きかけを一層進めていく考えであります。

――敵基地攻撃能力について午前の会見で、長官は反撃能力と述べた。政府として反撃能力という呼称を使用すると決めたのか。そうであればその理由は。

○松野官房長官
これまでいわゆる敵基地攻撃能力という名称については、一般に広く用いられているものを使用してきました。その上で自民党は、反撃能力の保有について提言をしています。こうした提言も踏まえ、いわゆる反撃能力を含めて、あらゆる選択肢を排除しないと述べたものであります。

いずれにせよあらゆる選択肢について、名称も含めて検討していくことに変わりはなく、引き続き、新たな国家安全保障戦略等を策定する過程で議論をしていきたいと考えています。

――知床遊覧船事故。先月6日に国後島で女性の遺体が発見されてから1か月。乗客の家族からは早期の対応を求める声が出ているが、その後、発見されたもう1人の男性の遺体も含めて、事態に進展がみられない。身元の確認や遺体の引き渡しに時間を要しているのはなぜなのか、何に時間を要しているのか。実際、ウクライナ問題による日露関係の悪化は影響していないのか。

○松野官房長官
国後島西岸において発見された身元不明のお二人のご遺体については、現在、外交ルートを通じて事故の行方不明者との関連を調べています。

身元の確認方法について具体的に申し上げれば、ロシア側からは身体的特徴やDNA情報を日本側から提供してほしいという要請があり、可能な限り速やかにロシア側に提供できるよう、ご家族に協力を求めながら進めています。

ご遺体の引き渡しについては、ご遺体の身元が事故の行方不明者であることが判明次第、早期の引き渡しを受けるべく、すでに外交ルートを通じて調整が進められています。

このようにロシア側とは、適時適切にやり取りを行っており、日露関係の悪化が何かしらの障害になっているとは考えていません。

――ウクライナ情勢について。ロシアは昨日、ウクライナの首都キーウを約1か月ぶりにミサイルで攻撃した。さらにプーチン大統領は、欧米諸国がウクライナに長距離ミサイルシステムを供給した場合に、我々がまだ攻撃しない対象を標的にするとの発言もしている。一連の行動や発言の受け止めと、長期化するウクライナ侵略の情勢をどのようにみているか。

○松野官房長官
5日、ウクライナの首都キーウにおいてロシアによるミサイル攻撃が行われたと承知をしています。また、プーチン大統領はウクライナに長距離ミサイルが供与されれば、これまで攻撃していない施設を攻撃するために、十分に保有している破壊手段を使用する旨述べたと承知をしております。民間人や民生施設への攻撃は国際法に反し、断じて正当化ができないものであります。

以前からプーチン大統領は、最初に設定された目的が完遂されるまで軍事作戦を継続する旨述べています。侵略の長期化の可能性について、予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますが、侵略の長期化の恐れがあるとすれば、その原因はプーチン大統領の意思にあると認識をしています。

このような状況において、ロシアに一刻も早く侵略を止めさせ、その上で対話への道筋を作るために、今必要なことは国際社会が結束をして強力な対露制裁措置を講じつつ、ロシアに侵略されているウクライナを支援していくことであると考えています。

――骨太の方針について。自民党の政調全体会合で本日、骨太の方針が了承される見通しだが、受け止めと意義について、見解を。また、防衛費や財政健全化の書きぶりを巡って、先週金曜に修正案の了承が得られず、閣議決定直前まで調整に追われているが、調整不足を露呈していることの受け止めも。

○松野官房長官
骨太の方針については、取りまとめに向け与党においてご議論いただいているところと承知をしています。ご議論の内容等について私からコメントは控えたいと思います。

以上