日本の女性候補者少ない理由は?ハードルも
衆院選投票まであと4日。政治におけるジェンダー、男女格差の問題です。今回、各党が争点として公約にも大きく掲げていますが、日本では政治分野で女性の進出が極端に遅れています。
■女性議員の割合は・・・
まず、日本は諸外国に比べて女性議員比率が極めて低いです。選挙前の女性議員は、衆議院は9月末で10.2%、わずか1割しかいません。
今年10月時点で日本の衆議院にあたる世界の下院での女性議員比率のランキングです。
1位 ルワンダ
2位 キューバ
3位 アラブ首長国連邦
27位 フランス
39位 イギリス
67位 アメリカ
121位 韓国
147位 ガーナ
164位 ナウル
日本はなんと190か国中、165位です。
女性候補者を増やそうと、日本でも「候補者男女均等法」という法律が作られました。
「候補者男女均等法」は、国会や議会の選挙で男女の候補者数をできる限り均等にするよう政党などに求める法律です。すでに2018年に成立していて、3年経ちます。この法律はあくまで努力目標で、違反しても罰則はありません。
この法律ができてから初めて迎える衆院選、候補者たちの意識はどうなのか。
今回の選挙で日本テレビが行っている「候補者アンケート」には、これまでに1007人から回答がありました。「女性候補者の割合を一定以上にするよう法律で定めること」に賛成か反対かという問いについて分析します。
政党別でみてみると、自民党と日本維新の会の候補者は「どちらとも言えない」が最も多く、NHK党では「どちらとも言えない」と「やや反対」が同じくらいです。
一方で、公明党、立憲民主党、共産党、国民民主党、れいわ新選組、社民党の候補者は全て「やや賛成」か「賛成」が最も多くなっています。
このほか、無所属の候補者の考えも候補者アンケートでみることができます。
■今回の選挙の女性候補者は?
では実際、今回の選挙で政党は女性候補者を増やしたのでしょうか。
まず、総数ですが、女性は186人が立候補していますが、全候補者の総数に占める割合は17.7%と2割にも満たないです。
法律ができる前の前回、2017年衆院選も実は同じ17.7%でした。増やそうと法整備したのに、結局変わっていないということになります。
政党で違いは、候補者の数が違うので単純には評価できませんが、割合でみると、30%超えているのは共産党で35.4%、社民党60.0%、NHK党33.3%となります。そして、国民民主党29.6%、れいわ新選組23.8%、立憲民主党18.3%、日本維新の会は14.6%、自民党9.8%、公明党7.6%となりました。
去年末には、政府としても衆院選の女性候補者の比率を2025年までに35%という目標を掲げて閣議決定もしています。
2025年と言えば、あと4年しかありませんが、これにも遠く及ばないということになっています。女性を積極的に擁立しようという意思が、全体としては今回も感じられなかったと言えます。
そもそも女性の候補者が少ない理由はどうしてなのでしょうか。
女性には、男性にない色々なハードルがあります。内閣府が(男女共同参画局)男女の地方議員に立候補から選挙期間中までの課題をアンケートをとっています。
女性の上位3項目は
・知名度がない
・仕事や家庭生活で選挙運動と準備に時間がない
・選挙運動とその準備の方法がわからない
男性と比べると
・自分の力量に自信がもてない
・性別による差別やセクハラを受けた
こうしたことが男女の差が大きくなっているということがわかります。女性にとっての高いハードルになっているのがわかります。
男性にも選挙には数多くのハードルがありますが、女性は家事、育児との両立の難しさや政治は男性が行うものという考えがハードルになって、興味があってもなかなか政治家になりたいと思えない面があります。
■女性議員について選挙公約は?
では、今回各党は「女性議員を増やす」ことに関して、どんな選挙公約を掲げているのでしょうか。
自民党「明記なし」。女性議員については公約に明記がありません。
公明党は、議員や候補者に一定数以上の女性を割り当てる「クオータ制についての議論を進める」としています。
立憲民主党は「クオータ制を導入し、男女半々の議会『パリテ』の実現を目指す」としています。
共産党は「パリテ(男女議員同数化)に取り組む」としています。
日本維新の会は「明記なし」。女性議員に関して明記はありません。
国民民主党は「女性候補者比率35%目標の実現」としています。
れいわ新撰組は「候補者などの50%を女性に割り当てるクオータ制を法制化」としています。
社民党「クオータ制(男女比率割り当て)を進める」としています。
NHK党「クオータ制の導入検討」としています。
こうした政策を各党掲げています。
男性議員でもジェンダーの問題に積極的に取り組む人もいますし、女性議員でも消極的な人もいます。
世界的にみて、極端に遅れている現状をどうするのか。みなさんの選挙区でどの人が自分の声を代弁してくれるのか考えて一票を投じていきたいです。
(2021年10月27日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)