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「10万円」給付、ひとり親の受け止めは?

2021年11月11日 13:58
「10万円」給付、ひとり親の受け止めは?

10月の衆議院選挙を受けて行方が注目されていた、子どもへの「10万円給付」。バラマキ批判を受け、当初は「一律」を訴えていた公明党が折れる形で、960万円の所得制限を設けることで着地しました。ひとり親たちの受け止めを取材しました。

■バイトと生活保護で…4人の子育て

10日、4人の子どもを育てている、ひとり親の佐伯さん(仮名・30)を訪ねました。

佐伯さん
「アルバイトを週5くらいでしながら、毎日子どもたちを学校に送り出したりとか、家事もいろいろ追われつつ…」

4年前、4人目の子どもを妊娠中に夫と離婚。アルバイトと生活保護で、なんとか生活しているといいます。

今年9月のアルバイト代は、新型コロナウイルスの影響で約3万7000円。10月は通常に戻り、15万円ほどでした。佐伯さんは「食費が(月)12万円かかっていて、食べ盛りなので食費が一番かかってしまいます」と言います。

期待しているのは、18歳以下の子ども1人につき10万円が支給される政府の支援策です。「合計40万円にはなると思うんですけども…。ほとんど食費に消えると思う。あとは、新学期とか新学年で準備するものを(買いたい)。意外とあっという間に(40万円は)なくなってしまうと思う」

■「厳しいのは一緒」複雑な思いも

10日夜、東京・北区では支援団体「フードパントリーららら」による弁当の配布が行われていました。子どもの分は無料といいます。

11歳の娘を育てるひとり親の女性(40代)は子どものための弁当を受け取り、「毎回利用させてもらっています」と言いました。その足で、同じ団体による食料の無料配布場所に向かいました。「(中身は)たくさんです。本当助かっていますね」

女性は10万円給付について「子どもの生活費。全て子どもの(ための)お金ですね」と話しましたが、「もらえない人ともらえる人がいるのであれば、ちょっとやっぱり、申し訳ない気持ち。厳しいのは一緒だと思うので」と複雑な胸中をのぞかせました。

■「年収960万円以下」で一致

10日夜、第2次岸田内閣が発足しました。岸田首相は会見で、新たな経済対策の柱を明らかにしました。

「年内できるだけ早期に補正予算を成立させ、国民の皆さんに、一刻も早くお届けいたします。子育て世帯に対しては、年収960万円を超える世帯を除き、18歳以下1人あたり10万円相当の支援を行います」

自民・公明両党は、18歳以下の子どもに年内に現金で5万円、来年の春をめどに5万円相当のクーポンを支給することで合意しました。焦点となっていた所得制限は、年収960万円以下とすることで一致しました。

公明党は「子どもへの未来への投資」として当初「一律」を主張していましたが、「バラマキ」という批判が根強く、折れた形での決着となりました。

■学生に…「18歳以下」と別の給付も

19歳以上の大学生の声を、横浜市内で聞きました。

大学生(19)
「1人暮らしです。(自炊だと食費は)1日300、400円くらい」

別の大学生(19)
「緊急事態宣言下でアルバイトが満足にできない(状況だった)学生さんもたくさんいらっしゃると思うので、お金の面で不安なところもあると思う」

岸田首相は10日夜の会見で、18歳以下への10万円給付とは別に、コロナ禍で困窮する学生が学業を続けられるよう、10万円の緊急給付金を支給することを明らかにしました。

■マイナカード 最大「2万円分」ポイント給付

年齢や年収にとらわれない給付も打ち出されました。マイナンバーカードを使ったポイント給付です。

東京・港区の芝地区総合支所では10日、窓口でマイナンバーカードの交付が行われていました。受け取りに来た人は「(衆議院)選挙の時に給付金が配られるかもしれないという話があったので、ポイントなどは楽しみです」

自民・公明両党は、マイナンバーカードを新たに取得し、健康保険証として使う手続きなどをすれば、最大2万円分のポイントを付与することで合意しました。

(11月10日『news zero』より)