外交記録公開 湾岸戦争前に自衛隊派遣要請
外務省が外交記録文書を公開しました。1991年の湾岸戦争の前に当時のアメリカのブッシュ大統領が、海部総理大臣に直接、自衛隊の派遣を求めていたことが明らかになりました。
文書によりますと、1990年にニューヨークで行われた首脳会談の際、ブッシュ大統領は、「日本が軍隊を中東での国際的努力に参加させる方途を検討中と承知する。そのような対応は有益で世界から評価されるだろう」「日本の貢献が遅滞なく行われることを期待する」と海部総理に直接、伝えました。
これに対し、海部総理は、「検討の結果、国連平和協力法を策定することとした。資金のみならず、ともに汗を流す協力を実現したい」と答えました。しかし、その後、法案は廃案となり、自衛隊派遣は実現しませんでした。
一方、1990年の湾岸危機で、イラクを訪れた中曽根元総理大臣とフセイン大統領とのやりとりも公開されました。
会談で、中曽根氏は、「米国人はカッとなると前後の見境がつかなくなる」、「イギリスのサッチャー首相とブッシュ大統領は人的犠牲を出しても戦争を行おうと考える可能性がある」などと指摘し、フセイン大統領に自制を求めました。