【全文】救済新法に向け消費者庁に「法制検討室」設置へ 官房長官会見(11/9午前)
松野官房長官は、9日午前の会見で、いわゆる統一教会の被害者救済のため、悪質な献金などに対応する新規立法に向けて、消費者庁に法制検討室を設置するとともに、検討室職員の増員を進めていると述べました。
<会見トピックス>
▽"統一教会"被害者救済法案
▽新型コロナ対策
▽北海道三陸沖後発地震注意情報
▽寺田総務相政治資金問題
▽防衛費増額財源
▽アメリカ中間選挙
会見の概要は以下の通りです。
○松野官房長官
私からはございません。
――旧統一教会の被害者救済について伺います。岸田総理が悪質な献金を規制する新たな法案を今の国会に提出する考えを明らかにした。国会の会期末までおよそ1か月となる中、検討の加速が必要との指摘もあるが、どのような態勢でどんな法案をまとめる考えか、検討方針を伺います。
○松野官房長官
悪質な献金等の被害者救済のための新規立法については、昨日総理からも申し上げた通り、消費者契約法の対象とならない寄付一般について、社会的に許容しがたい悪質な勧誘行為を禁止すること、そうした悪質な勧誘行為に基づく寄付について、取り消しや損害賠償請求を可能とすること、子や配偶者に生じた被害の救済を可能とすること等を主な内容として検討していきます。消費者庁の霊感商法対策検討会の報告書を踏まえ、与野党協議会での議論も参考にしながら、今国会を視野にできる限り早く法案を提出すべく、最大限の努力を行ってまいりたいと考えております。そのための態勢については、消費者庁に法制検討室を設置し、警察庁、法務省、文部科学省といった関係省庁からも職員を派遣して検討を行っており、現在、この検討室職員の増員も進めているところであります。
――昨日の与野党協議会で野党からは14日までに新法の法案の要綱を示すようにと要求がありました。それに対応するような進捗状況について伺います。
○松野官房長官
与野党協議会での議論の内容に、政府の立場からコメントすることは差し控えさせていただきます。政府としては、先ほど申し上げた通り、新規立法について今国会を視野にできる限り早く法案を提出すべく最大限の努力を行っていきます。
――新型コロナ関して伺います。昨日の記者会見で、感染状況に応じて国民にメッセージを発信すると述べていたが、具体的にどのようなタイミングでどういった形での発信をお考えでしょうか。
○松野官房長官
政府としては、関係団体、学会、地方自治体など、幅広い関係者の協力を得て、感染状況に応じた呼びかけを行っていく考えであります。まずは、国民の皆様には、基本的な感染防止対策の徹底等とともに、感染が拡大する前のワクチン接種や、発熱などの体調不良時に備えて、国が承認した新型コロナの抗原検査キットや解熱鎮痛剤の購入、電話相談窓口などの連絡先の確認などの準備をお願いしたいと考えています。また、流行時の外来受診、療養の流れについて、重症化リスクの高い方に適切な医療を提供できるよう、感染状況や地域の実情に応じて、国民の皆様への呼びかけを行うこととしています。
こうした呼びかけは、今後、厚生労働省アドバイザリーボードにおける新型コロナの感染状況の分析・評価などを踏まえつつ、適切なタイミングで行う予定であります。呼びかけの際は幅広い関係者が一丸となって適切なメッセージを発信し、国民の皆様への周知を徹底していきたいと考えております。
――第8波に入ったとの見方もある中、今後、感染が拡大した場合、全国旅行支援などの需要喚起策について中断などの対応をとることはありますでしょうか。
○松野官房長官
全国旅行支援などの需要喚起策については、感染状況に応じ、都道府県が実施の継続の可否を判断するものとなっていますが、政府としても、感染状況の動向について注意深く見守った上で適切に判断してまいりたいと考えております。いずれにせよ、引き続き、基本的な感染防止対策を徹底していただきながら、これらの需要喚起策をご利用いただきたいと考えています。
――新型コロナ対策の関連で伺います。昨日、北海道内の新規感染者数は9136人と過去最多を更新しました。全道の病床使用率も夏の感染拡大時に最大だった40%に迫っております。全国的に見ても感染者は増加傾向にありますが、医療体制など第8波への備えは十分となっているのでしょうか。また、過去の感染の波よりも感染者数が上回ることも懸念されますが、爆発的に感染が拡大した場合でも行動制限を行う考えはないのでしょうか。
○松野官房長官
全国の新規感染者数は足元では増加傾向にあり、とりわけ北海道では9136人と過去最多となっているほか、病床使用率も増加傾向にあります。本日も厚生労働省のアドバイザリーボードで感染状況について分析評価をいただきますが、現在の感染拡大が今後も継続し大規模な全国的な感染拡大に繋がる可能性もあることから、緊張感を持って感染動向を注視していく考えであります。政府としては、新型コロナの感染拡大や季節性インフルエンザとの同時流行にも備え、発熱外来や健康フォローアップセンターの拡充等に取り組むこととしており、都道府県に対し、11月中の外来医療体制の整備をお願いしているところであります。こうした取り組みに加えて、できる限り早い時期のワクチン接種や感染状況に応じて国民の皆様に具体的なメッセージを発信し、事前の準備や重症化リスク別の行動を促すなど、先手先手で対応してまいりたいと考えております。 また、この秋以降の感染拡大がオミクロン株と同程度の感染力、病原性の変異株によるものであれば、新たな行動制限は行わず、社会経済活動を維持しながら感染拡大防止策を講じることを基本的な考え方としています。その上で、 感染者数が膨大になり、医療の負荷が高まる場合等に、どういった対応を取り得るかについては近くコロナ分科会を開催し専門家等のご意見を伺いながら検討を進めてまいりたいと考えております。
――後発地震情報について伺います。日本海溝千島海溝沿いでマグニチュード 7 以上の地震が発生した際、より大きな後発地震に注意するように政府を呼びかける北海道三陸沖後発地震注意情報の運用が 12 月 16 日から開始されます。情報には不確実性も伴いますが、住民への適切な周知や買い占めなどの過剰反応を防ぐために、自治体とどのように連携していくお考えか伺います。
○松野官房長官
北海道三陸沖後発地震注意情報が発信された際に、住民が適切な防災対応を取るためには、日頃からこの注意情報について正しく理解いただき、あらかじめとるべき行動や日頃からの地震への備えを確認していただくことが重要です。
このため、政府としては関係自治体に対して、後発地震注意情報について丁寧な説明を行うとともに、住民に対する広報啓発の面での連携をお願いをしているところであります。今後とも関係自治体としっかり連携しつつ、住民の方々が適切な対応をとれるよう、引き続きできる限りの周知広報に努めてまいります。
――地震注意報の関連質問です。この注意報の運用ですね。12月16日から約1週間始められるということなんですが、確度の高い地震の予測は難しいと考えられている中で、なぜ12月16日からなのか、その根拠について教えてください。
○松野官房長官
北海道三陸沖後発地震注意情報が発信された際には、関係自治体および住民の方々がこの情報について、正しく理解していただくことが重要であることから、十分な周知期間を設ける必要があります。そのため今年9月30日に変更を行った日本海溝、千島海溝周辺海溝型地震にかわる基本計画において、後発地震への注意を促す情報発信や、その際の対応について規定されたことを踏まえ市町村向けの説明会を行うなど、丁寧な説明に取り組んでいるところであります。一方、日本海溝、千島海溝沿いの地震は切迫しており、できるだけ早急に情報発信を始める必要もあり、こうしたことを勘案して、12月16日の運用開始としているところであります。 政府としては、引き続き、運用開始に向けて、周知啓発に取り組んでまいりたいと考えております。
――関連で、こうした注意報は意義があるものだと思うが、後発地震が起こる可能性に応じて、今後、東京や大阪なども対象になる可能性はあるのでしょうか。
○松野官房長官
日本海溝、千島海溝沿いの巨大地震では北海道から千葉県までの広い範囲で、3m以上の津波や大きな揺れによる甚大な被害が想定されています。そのため、北海道三陸沖後発地震注意情報は、北海道から千葉県の太平洋沿岸地域を中心に注意を促す情報として発信することとしており、現時点において東京や大阪に発信することは、想定していないところであります。
――寺田大臣の政治資金に関して伺います。寺田大臣は昨日の衆院の委員会で政治資金収支報告書への借り入れ金額600万円の不記載を認めました。先日には後援会の貸付金等を報告書に記載していなかったと訂正したばかりで、ほかにも政治資金を巡る問題の発覚が相次いでいます。政府としては、こうした現状や寺田大臣が説明責任を果たしているか、また政治資金規正法を所管する総務大臣としての資質についてはどのようにお考えか合わせて伺います。
○松野官房長官
政治資金に関して指摘されている事項については、寺田大臣より説明を行ってきているところであり引き続き政治家としての責任において、適切に説明することが重要であると考えています。
――防衛力強化について議論する政府の有識者会議が今月下旬に取りまとめる提言に、防衛費増額の財源について増税を念頭に「(納税者の)負担能力に応じる」と明記する方向で調整していることがわかったと一部報道があります。「幅広い国民負担が必要」との文言も盛り込まれる方向で、所得税や法人税などを想定しているということですが、事実関係と現在の検討状況、政府として防衛費増額の財源についての考え方を改めて伺います。
○松野官房長官
防衛力強化の財源については、一般論として防衛費が恒常的に必要となる経費であることを踏まえ、歳出、歳入の両面から検討を進めて、必要な安定財源を確保していくことが重要であると考えています。本日開催される国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議においても、財務大臣から、総合的な防衛体制の強化に必要な財源確保の考え方について検討状況を報告いただく予定でありますが、現時点において具体的な方向性が決まっているわけではありません。いずれにせよ、防衛費の財源確保のあり方については、新たな国家安全保障戦略等の策定や予算編成を通じて防衛力強化の内容や規模とともに、一体的に検討していきます。
――アメリカ中間選挙について伺います。記録的なインフレでバイデン大統領への不満が高まり、与党・民主党は苦戦が伝えられておりますが、結果が日米関係に与える影響についてご所感をお願いいたします。
○松野官房長官
米国国内の選挙に関わる事項についてコメントすることは基本的に差し控えたいと思いますが、日米同盟は揺るぎがなく、その重要性について、民主党、共和党を問わず共通の認識が存在していると考えており、選挙の結果が日米関係の重要性に影響を及ぼすことはないと考えています。