【解説】現職首相が初めて出席、政倫審の成果は? “裏金問題”で新たな発言も
29日、自民党の派閥の政治とカネの問題をめぐり、衆議院の政治倫理審査会が開かれ、岸田首相が現職の総理として初めて出席しました。党内の反応や、岸田首相の新たな発言について解説します。
「岸田首相は、出席した政倫審では神妙な感じでしたが、どうみたらいいですか?」
小栗泉・日本テレビ解説委員長
「首相自身は周辺に『いま言える最大限のことは説明した』と話し、少し疲れ気味だったそうです」
「実際きょうは、かなり気合が入っていたようで、午前7時半に官邸に入ってから、政倫審が開かれる午後まで、来客を受けることもなく『ずっと準備をしていた』ということです」
小栗解説委員長
「ただ一方で今回、岸田首相は、野党から呼ばれてもいない中での出席ということもあり、周りの反応は足元の自民党でさえ、淡泊なものでした。たとえば、次のような反応がありました」
●麻生派の中堅議員
「政倫審の開催ができたこと自体は良かったけれども、これで政治の信頼回復とはいかない」
●安倍派の中堅議員
「何を伝えたいのか、分からなかった」
●無派閥の中堅議員
「なぜ裏金が始まり、やめられなかったのか、という国民が求めていることが解明されないから、政倫審をやった意味が伝わりにくい」
「首相は、おわびと信頼回復に向けた覚悟を示したい、ということでの出席でしたね」
小栗解説委員長
「そうですね。ただ、その点では新たな発言もありました。以下の3つです」
●政治資金規正法の連座制について、秘書などの会計責任者が有罪となったら、議員本人の責任を追及できる仕組みを「実現する」と一歩、踏み込みました。
●岸田首相が勉強会と説明している個人の政治資金パーティーについて、「首相在任中は開催しない」と明言。
●安倍派議員らの処分について、「道義的責任はあると思う」と、何らかの処分をする意向をにじませました。
有働キャスター
「そして真相解明という点では、1日に安倍派の幹部4人が出席しますね」
小栗解説委員長
「そうですね。与野党ともに、明日が勝負と位置づけています」
「いずれも安倍派の事務総長経験者で、これまでは『関与しなかった』『収支報告書に記載しなくていいという指導があった』などと釈明してきました」
「しかし、裏金を『誰の指示』で、『いつから』どういった『経緯』で作り、『何に使ったのか』など、具体的な説明が求められます」
■廣瀬俊朗さんに聞く「そもそもの“裏金問題”原因究明・対策を」
有働キャスター
「廣瀬さんはこれを、どう見ていますか」
廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「首相自ら先頭に立ち、出席したことは評価できると思いましたが、そもそもの原因究明はしっかりやってもらわないといけないですね。今後については連座制の導入ということもあったので、言ったことをきちんと実現する姿も見せてほしいなと思います」
◇
有働キャスター
「1日は安倍派の4人が出てきますが、裏金問題の『いつから』『なぜ』、そして、やめたキックバックを復活させた理由など、『本丸』が明らかにならないと、また国民が、がっがりすることになります。具体的に、しっかり説明してください」
(2月29日放送『news zero』より)