国家公安委員長「うな丼食べた」発言 野党から“更迭”要求も…波紋広がる 記者「笑いとりにいった可能性」
岸田首相の襲撃事件をめぐり、警察を所管する谷国家公安委員長が報告を受けた後も「楽しみにしていたうな丼は食べた」などと発言したことに、波紋が広がっています。そもそも、どういう意図でこの発言をしたのでしょうか。その場に居合わせた日本テレビ政治部の記者が、当時の状況について語りました。
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26日、東京都内にあるうなぎ店からは「うなぎもいい迷惑だよね。大事件があったのにのんきな話」との声が聞かれました。
「うな丼」をめぐって、釈明に追われたのは、警察を所管する組織のトップ、谷国家公安委員長です。
谷国家公安委員長(26日午後1時過ぎ)
「清流の四万十の名物でもあるということで、地元の方の自慢の料理というか、名物ということで口に出してしまった」
発端となったのは、25日に行われた自民党議員のパーティーでの「四万十でおいしいうな丼を食べられるということで、楽しみにしてたんですけれども、これから食べようという時に警察庁から電話があって『和歌山で総理に物を投げられた』と。うな丼はしっかり食べさせていただきました」との発言です。
和歌山市で岸田首相が襲撃された事件当日の今月15日、谷国家公安委員長は高知県内を視察中でした。人気のうなぎ店で昼食をとる直前に事件の報告を聞いたといいますが、「うな丼はしっかり食べた」と発言したのです。
来月開催されるG7広島サミットの警備責任者でもある谷国家公安委員長によるこの発言に、野党からは批判が相次ぎました。
立憲民主党 安住国対委員長
「こういう人の下で警察全体が緊張感もって、サミットやれますかって話になっていく」
さらに国会では、立憲民主党の宮口治子議員が「『うな丼大臣』は即刻、更迭してください!」と発言。“うな丼大臣”と呼ばれるまでになりました。
襲撃された本人の岸田首相は「引き続き職務に当たってもらいたいと考えております」と更迭しない考えを示しました。
波紋が広がる中、渦中の谷国家公安委員長は26日、“うな丼を食べたのは万全な警備を指示した後だった”と説明しました。
谷国家公安委員長
「舌足らずといいますか、誤解を招きかねない発言であったということは受け止めなければならない」
――撤回には至らない?
谷国家公安委員長
「撤回というか、発言は事実しか言っておりません。話すべき内容ではなかったのではないかという意味で、適切であったとはいえないと思っています」
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そもそも、どういう意図でこの発言をしたのでしょうか。その場に居合わせた日本テレビ政治部の高柳裕美記者が、当時の状況について語りました。
日本テレビ政治部 高柳裕美記者
「実はこの直前に河野大臣と高市大臣があいさつをして、会場で笑いが起きていた。その後にあいさつをした谷大臣も、笑いをとりにいった可能性がある。谷大臣が発言をした後、特に会場からは笑いは起こらなかった」
身内のはずの政府関係者からは「冗談にしてもセンスがありません」「我々も警察庁幹部も腹の底では怒っています」との声が上がっています。
(4月26日放送『news zero』より)