【全文】ガス料金負担軽減策「電気とのバランス勘案し適切な措置講じる」官房長官会見(10/24午前)
松野官房長官は、24日午前の会見で、ガス料金の負担軽減策について「値上がりの動向、事業、構造などを踏まえ、電気とのバランスを勘案し、適切な措置を講じていきたい」と述べました。
<会見トピックス>
▽ウクライナ情勢
▽那覇市長選
▽日中関係
▽山口県上関町長選
▽ガス料金値下げ策
▽知床沖観光船沈没事故
▽朝鮮半島情勢
▽重大な少年事件記録の廃棄
会見の概要は以下の通りです。
○松野官房長官
10月27日から29日まで、ウルグアイのルイス・ラカジェ・ポウ大統領が実務訪問賓客として訪日する予定です。滞在中、天皇陛下はラカジェ・ポウ大統領と御会見になる予定です。また、岸田文雄内閣総理大臣はラカジェ・ポウ大統領と会談し、ワーキングランチを実施する予定であります。日本は基本的価値を共有する重要なパートナーであるウルグアイと、昨年、外交関係樹立100周年を迎えました。今般のラカジェ・ポウ大統領の訪日の機会に新たな10年を歩み始めた二国間関係の一層の強化やウクライナ情勢をはじめとする各種国際課題への対応等について意見交換を行う予定であります。今般のラカジェ・ポウ大統領の訪日を通じ、両国の伝統的な友好関係が一段と深まることを期待します。
私からは以上です。
――ウクライナ情勢について伺う。ロシアが軍事侵攻を始めてからきょうで8か月となります。ロシア軍は発電所などへの攻撃を繰り返していまして、冬を前に攻防が一層激しくなるとみられますが、政府見解と今後の対応方針について伺う。
○松野官房長官
ロシアによるウクライナ侵略は国際社会が長きにわたる懸命な努力と多くの犠牲の上に築き上げてきた国際秩序の根幹を揺るがすものであり、平和秩序を守り抜くため、G7をはじめとする国際社会が結束して断固たる決意で対応していく必要があります。我が国として、ロシアの攻撃により、ウクライナ各地において多くの市民が犠牲になっていることを極めて深刻に受け止めています。民間人や発電所を含む民間施設への攻撃は国際法違反であり、断じて正当化できません。強く非難します。この関連では、23日ウクライナのザポリージャ原子力発電所における原子力安全と核セキュリティを促進するためのIAEAの取り組みを支援するG7不拡散局長級会合声明が発出されました。我が国としても、本件動向に引き続き注視するとともに、状況の改善に向けて、G7各国と緊密に連携をしていく考えであります。日本は力による一方的な現状変更の試みを決して看過しません。冬の厳しい寒さが待ち受ける中で、ウクライナの人々に寄り添った支援を実施していくべく、G7をはじめとする国際社会と連携し、強力な対露制裁およびウクライナ支援を実施をしていく考えであります。
――那覇市長選について伺う。那覇市長選は自公が推薦した知念氏がオール沖縄が支援した候補を破り初当選した。沖縄振興に向け今後、政府として新市長とどのように連携を図るか伺う。また那覇市長選を含め今年の県内市長選は自公系が7連勝し、オール沖縄系の市長は宮古市だけとなったが、政府が進める普天間飛行場、辺野古移設に与える影響について伺う。
○松野官房長官
地方自治体の首長選挙は、地域住民の方々がその地域の様々な課題を巡ってご判断される機会であると認識しており、昨日の那覇市長選挙についても政府としてコメントは差し控えたいと思います。そのうえで申し上げれば、沖縄県の経済振興は引き続き重要課題であると認識をしており、地元自治体の皆様のご意見も伺いつつ、強い沖縄経済の実現に向けて、沖縄の持つ優位性、潜在力も生かしながら、沖縄振興にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
また、沖縄の基地負担軽減については、一つ一つ着実に結果を出していくことが重要です。引き続き、地元の皆様のご理解を得る努力を続けながら、辺野古移設を含め、沖縄の基地負担軽減に全力で取り組んでまいりたいと考えています。
――日中関係について。中国共産党の第20期中央委員会第1回総会が23日に開かれ、習近平総書記の3期目政権が発足した。政府としての受けとめを。また、台湾情勢など懸案も多い中で、今後どのように日中関係を進めていくのか、首脳会談の開催時期や形式などを含め、今後の方針は。
○松野官房長官
22日まで中国共産党大会が開催され、また、23日午前にいわゆる一中全会が開催され、 習近平氏を党総書記とする新しい指導部が選出されたと承知をしています。他国の政党の活動についてコメントすることは差し控えますが、その上で申し上げれば、日中関係が様々な可能性とともに、数多くの困難な課題や懸案にも直面する中、我が国としては、引き続き、主張すべきは主張し、責任ある行動を求めつつ、諸懸案も含め対話をしっかりと重ね、共通の諸課題については協力するという建設的かつ安定的な日中関係を、日中双方の努力で構築していくことが重要と考えています。また、日中首脳会談について、現時点で決まっていることはありませんが、様々なレベルで対応をしっかりと重ねていきたいと考えております。
――昨日、投開票された山口県の上関町長選挙について。中国電力が建設を計画している上関原発の推進派の新人が当選したが、政府としての受け止めを。また、当選した新人は原発を争点にするのは最後にしたいと言っていた。国に対して、上関原発の建設計画の推進姿勢を明確にするよう求めているが、この点についての見解も伺う。
○松野官房長官
先ほど那覇市長選で申し上げたけれども、地方自治体の首長選挙に関しましては、地域住民の方々がその地域の様々な課題を巡ってご判断される機会であると認識をしており、昨日の上関町長選の結果についても、政府としてはコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
その上で申し上げれば、原子力政策のあり方については、 8月24日のGX実行会議における総理からの指示を踏まえ、将来のエネルギー安定供給を再構築するべく、あらゆる選択肢を確保していく観点から、経済産業省等の審議会において検討が行われているところであります。専門家にしっかりとご議論をいただき、そうした議論を踏まえて政府としての今後の方針を明らかにしていく考えであります。
――政府が、月内にまとめる総合経済対策のうち、都市ガス料金の抑制策について、値下げの原資となる補助金を全国に約300あるガスの小売事業者に支給する方向で検討していることが分かったと一部報道。料金明細に何らかの形で記載することも検討されているということだが、事実関係と、政府の検討状況を伺う。
○松野官房長官
ガスの負担軽減策について、現時点で決まっていることはありません。総合経済対策や補正予算については、今月中に総合経済対策をとりまとめた後、補正予算を速やかに編成し、今国会に提出する予定であります。電気料金について、新たな負担軽減の仕組みを導入し、毎月の電気料金の請求において、直接的かつ実感できる形で負担軽減策を講じていくこととしており、ガスについても、値上がりの動向、事業、構造などを踏まえ、電気とのバランスを勘案し、適切な措置を講じていきたいと考えております。
――朝鮮半島情勢について伺う。韓国軍は24日、北朝鮮商船一隻が韓国が海上境界線と位置づける北方限界線を越え、韓国側に入ったとして警告射撃を行ったと発表した。北朝鮮側も韓国軍の護衛艦が同日未明、海上の境界線を侵犯したとして、10発の警告射撃を行ったとの声明を出した。南北は18、19の同日に陸上の境界線での砲撃を行うなど軍事的緊張が高まっているが日本政府としての分析と今後の対応。
○松野官房長官
本日未明、北朝鮮の商船が朝鮮半島の西側の海上の境界線を越えたため韓国軍が警告射撃を行った旨、韓国軍が発表していることは承知しています。また、韓国軍から韓国軍による警告射撃のあと、北朝鮮から海上への砲撃が行われた旨の発表も行われていると承知しています。北朝鮮の軍事動向に関する個々の具体的な情報の内容については、事柄の性質上、お答えすることは差し控えさせていただきますが、これまでの弾道ミサイル等の度重なる発射も含め、一連の北朝鮮の行動は我が国、地域及び国際情勢の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できません。今後の北朝鮮の動向について予断をもってお答えすることは差し控えたいと思いますが、北朝鮮の軍事動向については、政府として平素から重大な関心を持って情報の収集分析に努めており、引き続き、米国韓国等とも緊密に連携しつつ、必要な情報の収集、分析、及び警戒監視に全力を挙げていく考えであります。
――北海道知床沖の観光船沈没事故から半年が経過しました。あらためて政府として考える事故の教訓と、再発防止策は何でしょうか。また、これから現場は本格的な冬を迎えますが、未だ6名が行方不明な中で、今後の捜索対応をどうするのか伺います。
○松野官房長官
改めて、お亡くなりになられた方々とそのご家族の皆様に対し、心からお悔やみを申し上げますとともに、今回の事故に遭遇された方々とそのご家族に心からお見舞いを申し上げます。二度とこのような事故を起こすことがないよう、現在、総理の指示により立ち上げた知床遊覧船事故対策検討委員会において、旅客船の総合的な安全安心対策の検討を行っています。本年7月に公表した中間とりまとめにおいて、速やかに講ずべき事項とされた抜き打ちリモートによる監視強化などについては、国土交通省において順次取り組みを開始していると承知をしています。年内の取りまとめに向けて、引き続き精力的に検討を進め、小型旅客船の安全対策に万全を期してまいる考えであります。また依然として6名の方が行方不明となっている中、今後気象海象の条件がますます厳しくなっていきますが、捜査の継続を望むご家族のご意向も踏まえ、引き続き、海上保安庁により、行方不明者の捜索を継続してまいります。
――金曜の夜からの為替市場の急激な動きについては覆面介入の観測があるが、あらためて公式にご所見を。現行の円安水準が続くと民間企業の賃上げでは相殺できないという懸念があるかどうか、今後を含めて。
○松野官房長官
為替介入について具体的なコメントは差し控えさせていただきます。いずれにせよ投機による過度な変動は容認できず、為替市場の動向を高い緊張感を持って注視するとともに、過度な変動に対しては適切な対応をとりたいと考えています。また為替の水準についてのコメントについては差し控えさせていただきます。
――神戸家裁が神戸連続児童殺傷事件の事件記録をすべて廃棄していたことに続いて、2000年の大分での少年による一家6人殺傷事件など各地の家裁で重大な少年事件の記録が廃棄されていたことが明らかになっている。このことで歴史的な検証が不可能になっているわけだが、廃棄する前に第三者の意見を聞く仕組みや永久に保存する仕組みを作るべきだとの指摘も相次いでいる。これに対するご所見を。
○松野官房長官
裁判所における少年事件記録の取り扱いに関する事柄であり、政府としてお答えする立場にありませんが、その上で申し上げると裁判所における文書管理については裁判所がルールを定めるものと承知をしています。