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【解説】次々と明らかになる教団と新閣僚らとの“関係” 自民党が調査に後ろ向きな2つの理由…支持率低下の岸田政権の今後は?

2022年8月14日 21:40
【解説】次々と明らかになる教団と新閣僚らとの“関係” 自民党が調査に後ろ向きな2つの理由…支持率低下の岸田政権の今後は?

次々と明らかになる世界平和統一家庭連合、いわゆる「統一教会」と政治家との関係について、日本テレビ政治部・与党担当キャップの前野全範記者が解説します。

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(桝)党役員や新閣僚などに今回、起用された中で、いわゆる統一教会と過去に何らかの関係があったことを認めた議員。岸田総理、教団との関係を断つことをアピールしたい考えでしたが、かなりの人数が関係を認める展開です。前野さん、どういうことでしょうか?

(前野)岸田総理としてはある程度は想定内の展開だったと思います。というのも岸田総理は周辺に対し「過去のことをいつまでも暴露合戦しても収拾がつかない」と話していまして、統一教会との関係を自ら公表・説明し今後、見直しを誓えばOK、不問にしようという方針だったんです。実際、岸田総理も内閣改造後の記者会見で「関係見直しを了承した者のみを任命した」と説明しています。

(前野)その上で、様々な政策課題に対応するために、経験者も多い手堅い内閣改造をおこないました。ただ、政府与党にとって想定外だったのは教団側と関係のある議員がここまで広がっていたことで、政権内からも「内閣改造のプラスをかき消して余りあるマイナスだ」と嘆く声も聞こえてきています。

(桝)これだけ多くの関係が確認され、党としての調査を求める声もありますが、なぜそこに踏み込まない?

(前野)岸田総理や自民党執行部が党としての調査に後ろ向きなのには主に2つの理由があります。まず一つ目として「調査漏れが発覚した場合の執行部の責任回避」。自民党の調査と言っても議員や事務所へのヒアリングが中心になり強制的な権限があるわけではない。もし、調査結果を公表した後で、新事実が発覚したり、調査漏れや調査結果との矛盾が確認されたりすれば即、茂木幹事長ら執行部の責任が問われることになり岸田政権にも大きな打撃になる。

(桝)だから、議員自ら説明してと言っているわけですね?

(前野)その通りです。議員に説明責任を「丸投げ」しているため万が一、矛盾が出てきたとしてもあくまで個々の議員の責任だとリスクヘッジできるわけです。

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(前野)そして二つ目の理由ですが、「自民党を支援している他の宗教団体への影響」。選挙の際、統一教会に限らず新宗教や新興宗教の信者ボランティアがポスター貼り電話作戦を手伝うことは与野党を問わず幅広く行われていてこれ自体は違法ではありません。こうした中で自民党が統一教会について調査を行うと他の宗教団体との関係についても調査を求める声が上がり、今後、宗教団体による選挙支援を受けづらくなってしまうんです。

(前野)ある自民党関係者は「統一教会は多くの地方議員も支援していて信者が秘書として議員事務所に派遣されているケースもある」「党による調査はパンドラの箱を開けてしまうことになる」と指摘しています。

(桝)今回、岸田総理は急に内閣改造に踏み切った印象ですが、ここまで問題が大きくなると思っていなかったんでしょうか?

(前野)私たちが取材した限り、問題発覚当初からごく最近まで岸田政権中枢は統一教会問題を軽視していて危機感はあまりありませんでした。というのも統一教会と深く関わっていた議員のほとんどは保守色の強い安倍派・清和会の議員でして岸田総理率いる岸田派や茂木幹事長率いる茂木派の議員はあまり深く関わっていませんでした。その結果、「所詮、安倍派の問題でしょ」という感覚で問題意識が低く対応がかなり後手に回った。

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(桝)とはいえ内閣改造後も支持率は下がり岸田政権発足以来、最低を記録。政権への影響はどうなりそう?

(前野)岸田政権としては野党から追及を受ける場が短期間の閉会中審査以外は秋の臨時国会までないことから何とか時間を稼いで統一教会問題を沈静化させたい考えです。ただ、9月27日には安倍元総理の国葬が予定されていてこれについては国民の間で賛否が割れています。自民党幹部からは「国葬の予算額が表に出たら今より批判が高まり支持率はさらに下がる」と警戒する声があがっています。

(前野)そのため、複数の自民党幹部からは統一教会問題について「新たな方針を打ち出さないとまずい」「党所属議員全員に絶縁宣言を出させるべきだ」などの声が上がっていて、岸田総理の今後の対応が注目されます。

(桝)統一教会との関係、政府にはきちんと対応してほしいと思いますが、新型コロナや物価高、そして、日本の防衛の問題など、直面している多くの難題についても、しっかりと責任を果たして欲しいと思います。

(8月14日放送『真相報道バンキシャ!』より)