【補正予算】「年収の壁」と共に注目の「ガソリンの暫定税率」…3党合意通り“廃止”なら暮らしへの影響は?
2024年度補正予算案の審議が大詰めを迎えています。予算案は12日午後から開かれている衆院本会議で賛成多数で可決される見通しです。
12日、衆議院の予算委員会は、一般会計の総額が13兆9千億円にのぼる補正予算案を賛成多数で可決。予算案は衆議院の本会議でも可決される見込みで、参院は与党が過半数を占めるため、今国会での補正予算成立は確実となりました。
少数与党となって初めての予算案成立に不可欠だったのは国民民主党の賛成です。11日、自民・公明両党と国民民主党の幹事長が会談し、「103万円の壁」の問題など税制改正の方向性について合意していました。
(国民民主党 榛葉 賀津也 幹事長)
「1。いわゆる103万円の壁は、国民民主党の主張する178万円を目指して来年から引き上げる。1。いわゆるガソリンの暫定税率は廃止すると、上記の各項目の具体的な実施方法については引き続き、関係者間で誠実に協議を進めると、本日付で合意をいたしました」
自民・公明・国民の3党は、「103万円の壁」について「178万円を目指して来年から引き上げる」ことや、いわゆる「ガソリンの暫定税率は廃止する」ことなどで合意。これを受け、国民民主党は補正予算案に賛成する考えを表明したのです。
「103万円の壁」と共に注目されるのが、ガソリンの暫定税率の廃止です。そもそも、暫定税率とは、本来のガソリン税に加算された上乗せ分で、1974年に全国の道路整備の財源不足に対応するために導入され、今は一般財源に充てられています。
1リットル当たりのガソリン価格の内訳をみると。本体価格に「石油石炭税」2.8円本来の「ガソリン税」28.7円、「暫定税率」25.1円と税金が加算され、さらに、この価格に対し、10%の消費税が課せられ、二重課税となっていることも問題視されています。
資源エネルギー庁によりますと、県内のレギュラーガソリンの小売価格は、9日時点で1リットルあたり176.2 円。3か月前に比べ1.4円値上がりしています。円安やロシアのウクライナ侵攻などの影響で、近年、高止まりしているガソリン価格ですが、実は約4割が税金。1リットル当たり25円が課税される「暫定税率が廃止」されれば、ガソリン代が安くなることになりますが、建築部材の配送などを行う運送会社は。
(朝比奈運送 朝比奈 龍一 部長)
「だいたい、月でいうと100万円以上安くなるのでありがたいに尽きる」「人件費の次にかかっているコストなので、経費の30~40 パーセントを占めているので、かなりの助けになる」
一方で、こんな懸念も…。
(朝比奈運送 朝比奈 龍一 部長)
「安くなった燃料代分、客からの運賃の値下げ交渉があることを覚悟している」
一方、税制改正についての議論をリードしてきた自民党税制調査会の宮沢会長は、3党の幹事長で合意した内容に不満ともとれる発言をしています。
(自民党 宮沢 税制調査会長)
「正直びっくりしたことは事実であります」「一歩一歩、前進をしてきたところで、こういう話が出てくることについて言えば、釈然としない感じは正直でございます」
12日の予算委員会では、国民民主党の議員から、3党での合意についてスピード感をもって対応してほしいと石破首相へ注文がありました。
(国民民主党 浅野 哲 衆院議員)
「来年からの年収の壁の引き上げに向けて、これまで以上のスピード感で、この協議を行い、そして結果を出すように(自民)党内に対して指示を出していただきたい」
(石破首相)
「我が党として、この合意を踏まえて、誠実に対応いたしてまいります」
私たちの生活に直結する「年収の壁の引き上げ」や「ガソリン暫定税率の廃止」は、どのような形で実現するのでしょうか。