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山形県知事選挙企画「県政の課題」 気候変動で揺れる農業 後継者不足にどう向き合う

2025年1月21日 17:04
山形県知事選挙企画「県政の課題」 気候変動で揺れる農業 後継者不足にどう向き合う

現職と新人による一騎打ちの山形県知事選挙が繰り広げられる中、県政の課題をシリーズで検証しています。3回目は「農業」がテーマです。県内の農業の現状から浮かぶ様々な課題について考えます。

ここ数年の〝気候変動〟は、県内で生育する農作物に大きな影響を与え続けています。

守屋仁志さん「やっぱり白が多いですね。全体的に粒も小ぶりですし」

猛烈な暑さに見舞われたおととし(2023年)ー。県内各地で未成熟なコメ「白未熟粒」が発生し、一等米比率が大幅に下がりました。

守屋仁志さん「等級が下がれば概算金も下がりますし、そういったところの支援をもし考えていただけるなら」

そして去年ー。県産サクランボも〝気候変動〟の影響を受け、実がくっついた状態の「双子果」が多く発生。収穫期の高温障害も重なり平成に入って以降、2番目に少ない収量となりました。

Farmおとらふ伊藤貴裕社長「木を見た感じはなっている ように見えるんですけど。3割ほどが双子果なので、出荷できる量は少ない」

さらに7月の記録的な大雨で庄内や最上を中心に多くの田畑や農業用施設が被災。鮭川村のナメコや酒田市の刈屋梨といった特産物も大きなダメージを受けました。

生産者「行政に頼まないとこんなのみんなしてスコップ1本持ってきてやったら何年かかるか分からんよ」

一方、〝農業〟の課題はこんなところにもー。

王将果樹園 矢萩美智社長「この園地は去年借りた。借りた園主の方を我々が雇用して社員になってもらって一緒に農業をやってもらっている」

天童市の果樹園に隣接するサクランボ畑。70代の持ち主の依頼で去年から果樹園が借り受けるようになりました。

王将果樹園 矢萩美智社長「2年前のサクランボの時期に園地の方が来て来年からサクランボを任せたいと言われて体力的にハウスの上に上ってビニール掛けするのもつらいし、それだったら雇ってもらって農地を借りてもらった方がいいということで」

2021年現在、全国の自営農家の平均年齢は67.9歳。70歳以上は全体の半数を超えています。また、農業に取り組む個人や法人全体のおよそ7割が5年以内に後継者となる存在を確保していないと回答しています。
高齢化や後継者不足は今後さらに加速します。15年後の2040年、農家の数は現在の4分の1程度にまで減ることが予想されています。

王将果樹園 矢萩美智社長「とにかく農家を辞める人が増えている。10年後とんでもないことになる。本当に安心安全な国産の農産物が食べられなくなるんじゃないかと危機感を持っている」

果樹園の社長は農業の新規就農者を増やすことや既存の農家が規模の拡大を図れるような施策を求めていました。

王将果樹園 矢萩美智社長「1ヘクタール増やしたらそれに対して奨励金を出すとか補助金の採択をしやすくしてもらう。規模を拡大した人、就農者を雇用した人とかそういう割り振りはこれから大事。じゃないとおっかなくて既存の農家が規模を拡大しない」

農業を取り巻く課題について県知事選の各候補者は次のように訴えています。

吉村美栄子氏「災害・気候変動にも強い農畜産業の定着・普及、東北農林専門職大学とも連携して若者・女性など多様な担い手を確保・育成していく」
金山屯氏「産官学で考えて政策をする」「産官学でやりなさい」

気候変動、そして後継者不足と高齢化。全国共通の課題が県内の農業の現状から浮かび、どのような対策を講じていくのかが問われています。

最終更新日:2025年1月21日 20:13
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