“統一教会”新たな声明…被害集計に「不正確」「水増し」 弁護士「これより上だから彼らは言わない」
いわゆる“統一教会”が新たな声明を出し、会見での「2009年以降トラブルはない」との発言について、“ごくわずかだがあるのは事実”と修正しました。これに対し、長年、被害者の救済に取り組む弁護士は、教団側の主張に反論しました。
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山上容疑者が強い恨みを募らせたとみられる、いわゆる“統一教会”の世界平和統一家庭連合が17日、新たに声明文を発表しました。その中で“誤解を招いた”として修正したのが、11日に行った会見での発言についてです。
世界平和統一家庭連合 田中富広会長(11日)
「末端に至るまで、コンプライアンスの徹底を進めてまいりました」
――トラブルは現状ないということ?
世界平和統一家庭連合 田中富広会長(11日)
「2009年以降の案件で、トラブルはありません」
声明文では、“2009年以降もごくわずかだがそのような(トラブルの)ケースがある”と修正しました。
“統一教会”声明文(17日)
「2009年のコンプライアンス宣言以降は、信徒たちのコンプライアンス遵守の結果が大きく表れているという趣旨で行ったものであります。それまでのようなトラブルがゼロになったという意味で言ったものではありません。自主的に献金を捧げた信徒が、その後、心変わりして献金の返還を求めるといったケースがあり、2009年以降もごく僅かですが、そのようなケースがあるのは事実です」
この主張に、長年、被害者の救済に取り組む全国霊感商法対策弁護士連絡会の紀藤正樹弁護士は「去年の段階でも3億円以上、被害相談がある」と指摘しました。
全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、教団などによる霊感商法の被害相談は、2009年以降も4000件ほど寄せられ、被害額は約176億円にのぼるといいます。(全国霊感商法対策弁護士連絡会資料より “統一教会”などによる被害 2009年~2021年 被害相談件数3988件 被害額約176億円)
一方、教団側は、被害の集計内容は「不正確」で「水増しされている」としています。
全国霊感商法対策弁護士連絡会 紀藤正樹弁護士
「ちゃんと(被害件数など)調べてから、声明を出してほしい。弁護士を通さずクレームを入れる人もたくさんいます。これより上だから、彼ら(“統一教会”)は、(被害件数を)言わないんだと」
また、教団側は声明文の中で山上容疑者の“家庭”についても言及しました。
“統一教会”声明文(17日)
「山上徹也容疑者の母親が救済を求めて当法人の信仰を持つに至ったにもかかわらず、結果として山上家庭にこのような悲劇が起きてしまったとするならば、山上家庭の救済と幸福をもたらす上において、当法人が十分に支えきれなかったことを率直に認めざるを得ません」
「当法人の教えは、神の真の愛によって家族の和合と幸福を実現することを目的としています」
紀藤弁護士はこの内容についても「真の愛、すべての愛は教祖に向くんです。末端信者は、救いを求めるために全財産を提供する結果、家族が崩壊し、精神的に問題を抱えたり、二世信者の方もたくさんいて、それが解決できていない」と批判しました。
(7月18日放送『news zero』より)