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男性「育休」課題は?……3分の1が“取るだけ育休”、育児家事は週10時間未満 半数近く「産後うつ」 落合陽一と考える「罪悪感」

2024年3月20日 10:12
男性「育休」課題は?……3分の1が“取るだけ育休”、育児家事は週10時間未満 半数近く「産後うつ」 落合陽一と考える「罪悪感」

まだまだ定着していない、男性の育休取得。東京・豊島区が実施した育児調査からは約3分の1の男性が「取るだけ育休」になっている実態が浮かび、「産後うつ」になっている男性も半数近くいると分かりました。産婦人科医は男性への支援も呼びかけています。

■都内の会社に「男性育休サポーターズ」

有働由美子キャスター
「東京都内の会社で19日、男性社員らが赤ちゃんの人形を相手に、おむつ替えの練習をしていました。『いいねー、いっぱいでたよー。すっきりしたねー』という声が上がりました」
「社内の有志で結成された『男性育休サポーターズ』です。育休を取得することに罪悪感があるという男性を応援する取り組みだそうです。特に男性の育休取得は、まだまだ定着していません」

■伊藤忠商事やOKIで…新たな取り組み

小野高弘・日本テレビ解説委員
「今年4月から、伊藤忠商事では妻の出産後1年以内に、夫には5日以上の育休取得を義務付けます。情報通信機器メーカーのOKIでは、1か月以上の育休を取った場合、育休を取った人の業務をサポートした社員たちに最大10万円を支給します」

有働キャスター
「抱く必要のない罪悪感を何とかしようということですよね。企業による育休取得率はどうですか?」

小野委員
「取得率を上げるだけではダメだということが、ある調査で見えてきました」

■豊島区「男性の育児調査」で見えたこと

小野委員
「東京・豊島区が2歳未満の子を育てる男性を対象に調査を行い、19日にその速報値を公表しました。1500人から回答を得て、問題が浮かび上がりました」
「1つは『取るだけ育休』。育休を取っても、家事や育児をする時間が週に10時間未満、1日にすると1時間半弱という男性が約3分の1いました」

有働キャスター
「『何してんの、せっかく取ったのに』となりますよね…」

小野委員
「男性が悩みを抱えてしまう例もあります。『男性の産後うつ』で、精神的な負担や不調を感じた男性が半数近くに上りました。気持ちの落ち込みや絶望感などが1年以上続いてしまう男性も少なくないそうです」

■睡眠を削って家事育児をする実情も

有働キャスター
「理由は何でしょうか?」

小野委員
「調査の中では、男性たちから『ホームページやチラシで“赤ちゃんとママ向け”とうたっていて困惑した』『父親同士で話せる場所がほしい』という声が出ていました。孤独を感じています」
「そして男性が長時間労働の中で、睡眠を削って家事育児をするという実情も分かりました。その結果、『つらい』『やめたい』と思ってしまう人が多いということです」
「この調査を分析した産婦人科医の平野翔大さんは『男性も育児に悩んでいるが、相談しづらい傾向もある。男性の育児についても支援することが必要だ』と訴えています」

■落合さんに聞く…「罪悪感」の捉え方

有働キャスター
「男性の育休が広がるためには、どういう取り組みが必要だと考えますか?」

落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「『罪悪感』という言葉が気になりました。私はアーティストで経営者で研究者なので、育休するなら育休する時にしか得られない経験をしたり、作ったり、問題の発見や研究をしたり事業を始めたりします」
「私のような事業をつくるタイプはそれでいいし、誰かの事業を支えるタイプの仕事の人は、代わりを立ててしっかり休んだらいいと思います。それができる環境をつくるのは、経営者の仕事ですよね」
「罪悪感という言葉は、本来経営者が果たすべき役割を働く人に押し付けているから出てくるものではないかなと私は思います」

有働キャスター
「経営者側の役割も非常に大切ですよね。そして今、子育てに不安を感じているという方は、パパとママどちらでも使える『親子のための相談LINE』という手段もあります。悩みを打ち明けてみてください」

(3月19日『news zero』より)