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「男性の育休取得」を後押し…民間企業で支援広がる 課題も

2024年3月19日 22:19
「男性の育休取得」を後押し…民間企業で支援広がる 課題も
女性に偏りがちな育児や家事の負担を減らすため、男性の育児休業を推進しようとさまざまな取り組みが進められています。取得する男性を増やすにはどうすればいいのか。課題も見えてきました。

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19日、人材サービスを手がける会社「パーソルホールディングス」の一室では、男性社員たちが赤ちゃんの人形のおむつ替えを行っていました。

集まったのは、社内の有志で結成された「男性育休サポーターズ」のメンバーです。育休を取得できる制度はあっても、周りの負担が大きくなるなどの罪悪感から取得しにくいという男性を応援し、取得しやすい環境作りを目指しています。

メンバーの1人、小島朋也さん。自宅に帰れば3人の男の子たちのパパです。

2022年に3人目の稜一郎くんが生まれた時、11か月の育休を取得しました。

長男、二男の時には取らなかったという育休。3人目で初めて取得すると決めた時、職場の上司は…

小島朋也さん
「『育休を取ろうと思っています』って言った瞬間に『めっちゃいいじゃん!』みたいな応援をしてくれたっていうのがあって」

11か月の育休を振り返って小島さんは…

小島朋也さん
「子どもたちと向き合えたっていうのがすごく良くて、(子どもたちの)変化とかに立ちあえるっていうのはすごい良かったなと思います」

また、小島さんは子育てに対する考え方も大きく変わったといいます。

小島朋也さん
「なんとなく育児に参加するではなくて、自分で育てるみたいなマインドにはなった気がします」

看護師として現在、職場に復帰している妻の綾子さんは…

小島さんの妻 綾子さん
「前回、1人目とか2人目の時に感じた寂しさとかはなかったですし、一緒に子どもに向き合っているからこそ、自分がこう伝えた時に一緒に感じて考えてくれる」

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今、男性の育休取得の推進に積極的な企業が増えています。

伊藤忠商事では、男性が妻の出産後1年以内に5日以上の育休を取ることを必須にすると発表。情報通信機器メーカーのOKIでは、育休中の社員の業務を代わりに担った同僚たちに最大10万円を支給する制度を導入します。(※いずれも今年4月から)

ただ、民間企業全体でみると、2022年度の男性の育児休業取得率は17.13%にとどまっているのが実態です。こうした中、政府は、2025年には男性の育休取得率を50%にする目標を掲げています。

一方、男性の育児参加を進めるには、課題も見えてきています。

19日、豊島区が発表したのは、区内の2歳未満の子がいる男性に行ったアンケートの結果です。

調査結果(速報値)では、子育て開始から1歳までに「子育てがつらい、やめたいなどと感じた」と答えた男性が半数近くにのぼったほか、育休から復帰後、長時間労働の中、睡眠時間を削って家事・育児に取り組む現状もわかりました。

結果を分析した医師は、「男性も育児に悩んでいるが、相談しにくい傾向もある」と指摘します。

豊島区の調査を分析した平野翔大医師
「知らず知らずのうち(不調に)陥っている人がたくさんいる」

男性の育児休業取得率をあげるだけでなく、その後も続く男性の育児をどう支援するか考えるべき時代に入っています。