富士山「ネット事前予約」スタート…混雑緩和につながるか “登山鉄道”構想に地元の反発も…
混雑や弾丸登山が問題となっている、富士山。その対策となる通行料の事前決済と、「登山日の予約」が始まりました。混雑対策として、山梨県では“登山鉄道”の構想も打ち出していますが、いま、これに地元が猛反発しています。
20日、多くの観光客が訪れていたのは、世界遺産「富士山」の五合目です。
記者
「ツアー客でしょうか、続々とバスから降りてきます」
中国からのツアーガイド
「富士山、みんな行きたい。めっちゃきれい」
今年の山開きは、7月1日。その日から、ここで新たに始まるのが…
記者
「山梨県は、この先にゲートを設置し、人数や時間の制限を行います」
これまで登山者には、“任意の協力金”だけが求められていましたが、7月から吉田ルートの登山者は、1人2000円の通行料が必須に。
山小屋の宿泊予定者を除き、吉田ルートの1日の登山者を4000人までに制限するのです。
20日、その予約受付が始まりました。
予約はインターネットからのみで、登山する日や名前などを入力し、通行料を支払うと…
記者
「メールで、二次元コードが届きました」
届いた二次元コードを、当日、ゲートにかざすのです。
山梨県が規制に踏み切った背景にあるのが、登山道の大混雑。多い日は、山道が登山客でびっしり覆い尽くされ、渋滞に。さらに、夜通し登山をする危険な“弾丸登山”が横行するなど、オーバーツーリズムへの対策が求められているのです。
自転車で来た人
「入山規制は賛成ですね。よく最近聞かれる…軽装とかで登る人がいる。そこが、歯止めになるんじゃないかと」
山梨県によると、1日4000人の入山者数は、混雑具合などを計算し設定。しかし、去年のシーズンに4000人を超えたのは5日間だといいます。
4000人の中には“当日枠”ももうけているため、予約を急ぐ必要はありませんが、日程が確定している人は、ぜひ活用してほしいということです。
さらに、いま、混雑対策として、山梨県が打ち出しているのが、“富士山の登山鉄道構想”です。
麓と5合目までをつなぐ道路「富士スバルライン」。ここに、次世代型路面電車=LRTを走らせるという構想です。
往復運賃を1万円とした場合、年間約300万人の利用を見込んでいるといいます。
山梨県は、運行本数の調整などで来訪者数をコントロールでき、排ガスによる大気汚染の改善も目指しているといいます。
観光客
「たぶん、あれば乗ってみたいなと思うかもしれないですけど、犬がいるので…ダメだと思いますけど」
しかし、構想に反対するのは、富士山の麓の「北口本宮冨士浅間神社」で長年、宮司をつとめる上文司厚さんです。
「富士山登山鉄道に反対する会」 上文司厚代表
「富士山はご神体でありますので、拝む対象。それに、これ以上、手を加えるということは、その信仰に反すると思います」
先月、山小屋組合や観光連盟などの有志と「反対する会」を発足し、先週までに2万4000人の署名が集まったといいます。
さらに、理由としてあげたのは…
「富士山登山鉄道に反対する会」 上文司厚代表
「“山を掘る”ということは、地盤が緩むとか、そういうこともかなり懸念されるのではないでしょうか」
先月には、水を含んだ雪が土砂といっしょに流れる「スラッシュ雪崩」が発生し、道路が一時寸断されました。また、活火山の富士山は“落石”も起きやすく、安全面で疑問の声があがっています。
これに対して、県は「土砂崩れなどに対し、安全対策を行っていく」としています。
また、富士吉田市の市長も反対を表明。
山梨・富士吉田市 堀内茂市長
「別に、EVのバスでやっても、まったく同じことだと思うんですね。そうすれば、何も自然に対して手を入れることなく、余計なお金も使わず、しっかりとした管理ができると考えています」
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今後も、県は住民説明会などを開き、地元の理解を得たいということです。