事故から1か月 離陸許可得たと海保機長“誤認”か 誤進入を防ぐには…元日本航空機長「今まで以上の対策が必要」
羽田空港で日本航空と海上保安庁の航空機が衝突した事故から2日で1か月。管制官の「ナンバー1」の一言で、海保機の機長が「離陸の許可を受けた」と誤認したとの見方が強まっていることが、関係者への取材でわかりました。では、誤進入を防ぐにはどうすればいいのでしょうか。
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海上保安庁の乗組員5人が亡くなった事故。日本航空機がC滑走路に着陸した際、海保機は滑走路上に進入していましたが、この直前、管制官は海保機に対し、離陸の順番が1番目であること、停止位置で止まることを指示していました。
交信記録より(実際は英語でやりとり)
「ナンバー1 C5上の滑走路停止位置まで地上走行してください」
この、管制官の「ナンバー1」の一言で、海保機の機長が「離陸の許可を受けた」と誤認したとの見方が強まっていることが、関係者への取材でわかりました。
では、誤進入を防ぐにはどうすればいいのか。航空評論家で元日本航空機長の小林宏之さんは、次のように指摘します。
航空評論家 元日本航空機長 小林宏之氏
「パイロットと管制官のコミュニケーションは、聴覚情報だけではなく視覚情報をできるだけ入れていくというのが一番のポイント、課題になってくるのでは」
“聞き間違いなどによる事故”を防ぐために必要だという、視覚からの情報。その1つが「STOP」と警告が出る案内灯だといいます。
横断する航空機が多いことから「STOP」の案内灯が設置されているA滑走路。「STOP」の表示の先には、滑走路を横断せず、手前で待機する機体がありました。
すると、滑走路を別の機体が通り過ぎます。
その瞬間、先ほどまで表示されていた「STOP」の表示が消えます。
そして、待機していた機体が滑走路へと進んでいきます。
元日本航空機長 小林宏之氏
「目で見ている視覚情報はダイレクトですから、より滑走路に入っていい・いけないが直感的に分かります」
小林氏はこれを、「事故のあったC滑走路にも設置するべき」と話します。
元日本航空機長 小林宏之氏
「滑走路の誤進入、滑走路内の事故は即、重大事故につながるので、今まで以上の対策が必要になってくるのではないかと」
日本航空は、今回の事故による滑走路閉鎖の影響で約20億円の減収になるとしています。
(2024年2月3日未明放送『news zero』より)