【解説】過去には“カボチャ大”落下も… 「ひょう」から身を守る対策とは
6月は“ひょう”が降りやすい時期です。突然降ってくる“ひょう”に、どう備えたらいいのでしょうか。「6月に“ひょう”ナゼ?」、「過去には“カボチャ大”のひょう」、「身を守る対策は?」、以上の3つのポイントについて詳しく解説します。
埼玉県入間市で12日午後1時ごろ、“ひょう”とみられる氷の粒が激しい音とともに降っていました。氷の粒の大きさは、大きいもので2センチ以上あったということです。
そもそも、“ひょう”とは何でしょうか。氷の粒が5ミリ以上の場合は“ひょう”、5ミリ未満は“あられ”です。「“ひょう”のようなもの」と表現されるのは、大きさが確認できていないためです。
ひょう”はなぜ、初夏の時期である5月・6月に降りやすいのでしょうか?
“ひょう”は、上空に発生した積乱雲の中にできた氷の粒が成長して大きくなって落ちてくるものです。積乱雲は比較的、夏に発生しやすいものです。しかし、7月・8月の真夏は地表付近の気温が高いため、“ひょう”が地表に落ちてくるまでに解けて、雨になります。
しかし、5月・6月は、まだ気温がそれほど高くないため、氷の粒が解けないまま落ちてきてしまいます。
ウェザーニュースの緊急調査によると、今月2日・3日に各地で“ひょう”が降ったという報告がありました。中でも、群馬県・埼玉県・千葉県では、被害の報告も目立っています。
群馬県では2日、藤岡市や高崎市などで、“ひょう”が下校途中の中学生や高校生にあたるなどして、91人がけがをしました。他にも、車のガラスが割れたり、ボンネットがボコボコになるなど、被害が相次ぎました。
“ひょう”の特徴は、降る場所にもあります。“ひょう”は、大気の状態が不安定になりやすい内陸の方が降りやすいと言われています。実際、内陸の北関東では、過去にも“ひょう”の報告が多くなっています。
さらに怖いのが、落下速度です。“ひょう”は大きくなるほど、落下速度が速くなります。ウェザーニュースによると、5ミリのもので時速36キロ、1センチは時速50キロ、5センチは時速115キロ、7センチは時速140キロです。
1917年(大正6年)6月、埼玉県でカボチャのような大きさの“ひょう”が降ったという記録が残されています。記録によると、直径29.5センチでした。
同日に降った“ひょう”の中で、重いものは3.4キロあったと記録されています。落下した田んぼには、50センチくらいの穴ができたそうです。
どのようにして身を守ればいいのでしょうか。
“ひょう”がどこに降るかの予測は、気象庁の予報官でも難しいそうです。では、何を目安にすればいいのでしょうか。
参考にしてほしいのが「雷レーダー」です。雷が発生しやすいということは、大気が不安定だということなので、“ひょう”も発生しやすい気象条件だと覚えておいてください。
“ひょう”が降ってきたら、どうしたら良いでしょうか。外にいる時は、なるべく早く、頑丈な建物の中に避難してください。落雷の可能性があるため、木の下に逃げるのはやめてください。
また、JAF(日本自動車連盟)によると、車に「厚手の毛布」をかぶせることで衝撃を和らげることができます。
そして、注意すべきは、“ひょう”自体の衝撃だけではありません。大量の“ひょう”が降ると、排水溝が詰まって、道路が冠水する可能性もあります。
氾濫危険情報とは、警戒レベル4の「避難指示」に相当する情報です。これまで、気象庁は、河川が氾濫危険水位に達した段階で発表していました。
13日からは、「水位が急激に上昇して、3時間以内に氾濫のおそれがある」と見込まれた段階で発表することになりました。つまり、これまでより早く情報を知ることができ、避難につなげられるということです。
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今はスマートフォンで天気の急変を知ることができます。外での活動も増える時期ですので、ネットを使った早めの情報収集を心がけたいです。
(2022年6月13日午後4時半ごろ放送 news every.「知りたいッ!」より)