“昇任試験のため”救急車消毒、出動できず
大阪府枚方市の消防署で、救急隊員が昇任試験に遅刻しないようにするため、意図的に救急車を出動できないようにしていたことがわかった。その結果、救急要請への対応に遅れが生じていたという。
枚方消防署の本署では今年1月、本来必要ではない救急車の消毒作業を行い、1台しかない救急車が出動できない状態を意図的に作っていた。その理由は、部下の男性隊員が幹部昇任試験を受けるため、出動によって遅刻しないようにするためだった。
しかし、その間に駅から救急要請が入り、少し離れた別の出張所から出動せざるを得なくなった。救急隊が到着した時、倒れていた54歳の男性会社員は、駅のAED(=自動体外式除細動器)で応急処置を受けていたが、心肺停止の状態で、病院で死亡が確認された。本来であれば、到着まで3分の距離だったが、今回の事案により2分遅れ、5分かかったという。
内部通報から発覚した今回の不正。消毒作業を指示した当時の警備課長を「戒告」の懲戒処分にするなど、合わせて5人に処分が出されている。