不十分な8本の杭、全て工期終盤の2週間に
横浜市の大型マンションが傾き、「杭(くい)」のデータが改ざんされていた問題で、くい打ちを担当した旭化成建材と親会社の旭化成が問題発覚後、初めて会見を開き、謝罪と経緯の説明をした。
旭化成・浅野敏雄社長「居住者の皆さまには大変ご迷惑おかけし、関係先の各位へのご信頼を損なうこととなりました。深く深く反省し、おわび申し上げます」
社長は、涙も見せて今回の問題について謝罪した。その上で、調査と改修工事の費用を全額負担すると述べた。
このマンションでは、固い地盤に十分に届いていなかった8本を含む70本の杭のデータに偽装があったが、この偽装について、現時点では、装置の紙切れなどでデータを紛失し、取り繕うために他のデータを転用したと想定していると説明した。
旭化成・平居正仁副社長「(現場代理人は)転用等で補った事について誠に申し訳ないことをしている。そこは認めているんですが、『工事が十分できていないことを隠すために、データを転用したことはない』と言い続けている」
旭化成側は、この現場代理人の発言は杭が届いていない現実と整合性がとれていないため、故意に隠した可能性についても調査するとした。
また、同じ現場の別の作業チームが工事のデータを2、3日ごとに報告していた一方で、この現場代理人のチームは、3か月の工期の最後に、まとめて報告していたことも明らかにした。
一方、旭化成の関係者への取材で、固い地盤に十分に届かなかった8本の杭はすべて工期終盤の2週間以内に打たれたことが分かった。別の杭を取り寄せるのには時間がかかることから、国交省は、データ改ざんの背景に工期やコスト面でのプレッシャーがなかったかどうかも調査する方針。