データ流用 50人以上の現場代理人関与
杭(くい)打ち工事のデータ改ざん問題で、旭化成側は会見を行い、13日までに約2400件の調査を終え、このうち266件にデータ流用があったと公表した。流用に関与した現場代理人は現時点で50人以上に上るという。
旭化成・柿沢信行執行役員「調査途中だが、データの流用に関わった現場代理人は50人以上」「現場代理人でヒアリングを終えているのは16名」「(流用の理由については)報告書作るときに体裁を整えるために、流用・コピーしたという理由見解を述べている」「不具合があって隠すためにコピーしたという証言は今のところ得られていない」
旭化成側はデータ改ざんの有無を調べている3040件の工事について、2376件の調査が終わり、266件でデータ流用が確認されたと、13日、国土交通省に報告し、その内容を公表した。
流用に関わった現場代理人の数は50人以上に上り、ほとんどが下請けの会社からの出向だったことも明らかにした。このうち横浜市のマンションの現場代理人が関与した工事で新たにデータ流用が1件確認され、この現場代理人が関与した43件の工事のうち、データ流用されていたのは20件となった。
一方、傾いた横浜市のマンションの杭について、旭化成の平居副社長は、杭が固い地盤に届いている可能性があるため、「ぜひ調査したい」と改めて主張した。
しかし、元請けの三井住友建設は旭化成側による調査は不要との認識を示していることから、必要があれば、元請けを通さず販売主や管理組合へ働きかけることも検討するとしている。
一方、旭化成建材から報告を受けた石井国土交通相は、266件でデータ流用が確認されたことについて、「極めて遺憾」とコメントを出した。その上で、流用が判明した建物全てについて安全性を確認するため、旭化成建材に対し、ボーリング調査などを行い、杭が固い地盤に届いているかの調査を行うよう求めた。
特に、傾いた横浜市のマンションの現場代理人が関わった建物や、自治体の調査で流用が判明している建物については、先行して調査を行うべきとし、今月中に、作業工程のメドを付けるよう、求めた。
また、流用が明らかになった266件のうち、医療機関や学校など公共性の高い建物については、所有者の了解が得られたものを16日に公表する方針。さらに、有識者からなる第2回目の対策委員会を16日に、緊急に開き、今後の対応などについて協議することも決めた。