長周期地震動で高層ビルも被害のおそれ
南海トラフの巨大地震について対策を検討している国の検討会は高層ビルなどをゆっくりと、大きく揺らす長周期地震動の影響を初めて公表し、3大都市圏を中心に大きな被害が出るおそれがあると指摘した。
最悪で約32万人が死亡すると推定される南海トラフの巨大地震について対策を検討している国の検討会は17日、河野防災担当相に報告書を提出した。
報告書は特に高層ビルなどをゆっくりと、大きく揺らす長周期地震動の影響について初めて公表した。特に、東京、名古屋、大阪の3大都市圏の地下には柔らかい地層が広がっているため、長周期地震動で大きな被害が出るおそれがあるという。
震源の紀伊半島沖に近い神戸や大阪の沿岸では400秒以上、震源から離れた千葉県や愛知県などでも、300秒以上揺れると想定されている。
またビルの高層階では、揺れはさらに長く激しくなり、大阪の埋め立て地に立つ高さが200メートルを超える超高層ビルの場合、揺れ幅は最大で6メートルになるという。
東日本大震災の際の長周期地震動では都市部の高層ビルで10分以上揺れ続くことがあった。
国は今後、首都圏でより大きな揺れが想定される相模トラフ沿いの巨大地震についても、長周期地震動の影響を検討する会議を来年2月までに設置し、対策を進めていくとしている。