“メルトダウン公表遅れ”第三者委が報告書
福島第一原発の事故で核燃料が溶け落ちた「メルトダウン」の公表が遅れた問題について、東京電力が設置した第三者検証委員会は報告書をまとめ、官邸には問題を大きくしたくないとする動きがあったと指摘した。
第三者検証委員会は16日、報告書を東京電力に提出した。その中で、福島第一原発の3号機が水素爆発した後、当時の清水正孝社長が、「炉心溶融」いわゆる「メルトダウン」という言葉を使わないよう、記者会見する当時の武藤副社長に指示していたことを明らかにした。
当時、記者からメルトダウンについて問われた時の記者会見の映像には、東電社員が「官邸から、これとこの言葉は絶対に使うなと」と副社長に耳打ちする様子が残されている。武藤副社長はこの後、記者の質問に対し、「ここはまだパラメーターとか周辺の放射線の量を見ないと判断できませんので…」と答えていた。
検証委員会は、「炉心溶融」を認めることについて、清水社長が官邸側から慎重な対応をするよう要請を受けたとみられるとし、「官邸には問題を大きくしたくない、控えめにおさえようとする動きがあった」と指摘した。
東京電力は、事故直後の会見では「炉心損傷」という言葉を使い、メルトダウンしていることを明らかにしたのは事故から2か月後だった。
東京電力は報告書の内容を精査し、来週、廣瀬社長があらためて記者会見を行うことにしている。