「弁護士は多すぎる?」裁判は減ってるのに
世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「弁護士は多すぎる?」。弁護士の伊澤文平氏に話を聞いた。
日本弁護士連合会によると、今年11月1日現在の会員数は3万9939人、2000年3月末の1万7126人と比べると倍以上に増えている。
一方、日本の裁判所で取り扱う民事や刑事などの事件数は、2017年で361万3952件、2000年(553万7154件)と比べると大幅に減少している。
――この現状について伊澤さんは、どう思われますか?フリップをお願いします。
キーワードとしては「司法改革」というのがあると思います。
2000年の初頭に「司法改革」というものが行われ、弁護士が大増員されるということがありました。この背景としては世の中にはたくさんのトラブルがあるにもかかわらず、供給サイドである弁護士が少ないのではないかという当時の政府の認識がありました。それで司法試験の合格者数を何倍にもしたんですね。
――では、今回の話題どおり、弁護士は多いというか、余っているという状況ですか。
これは見方によるのですが、確かに裁判は減少しています。弁護士の役割は裁判だけと考えれば、確かに需要と供給のバランスというのは崩れていて、弁護士が多すぎるともいえなくはないと個人的には思います。
――しかし弁護士の役割というのは、決して裁判だけではないですよね。
そうですね。最近はもうインターネットが当たり前の世界になっており、SNSなど色々なサービスが出てくるなかで弁護士の役割というのも変化しています。例えば、ネットの悪口を消して欲しいとか、あるいは企業内弁護士という職業もあるくらいです。
通常、弁護士は弁護士事務所に入って、そこに依頼者が来て下さって、そこで法律相談を受けたりするというのが通常の弁護士のモデルです。しかし、企業内弁護士というのは会社の中に常駐して、ビジネスマンと一緒にビジネスをつくりあげていく、そういう仕事ですね。
――時代の流れとともに弁護士に求められるものも変わる。場合によっては増えていることもあるという見方でしょうか。
そうですね。企業からのニーズというのは相当あって、それにもかかわらず弁護士サイドが裁判にこだわっているところも若干あります。そういう意味では弁護士はむしろ足りていないんですね。
――それではこれからの時代に、改めて弁護士に求められるものはどういうことだと感じていますか。
弁護士というのは単純に法律を知っていればいいというものではないと思います。企業内弁護士に代表されるようにビジネスというものをしっかりと理解したうえで、現場のニーズに寄り添うようなカタチで新しいことに興味を持ち勉強して、サービスを提供できるような弁護士が求められるのではないかと思います。
【the SOCIAL opinionsより】