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ナゼ……同性婚訴訟で“違憲”相次ぐ 原告「必ずいつか結婚できる日が」 高裁も違憲…「踏み込んだ意見」も【#みんなのギモン】

2024年3月15日 11:12
ナゼ……同性婚訴訟で“違憲”相次ぐ 原告「必ずいつか結婚できる日が」 高裁も違憲…「踏み込んだ意見」も【#みんなのギモン】
同性カップルの結婚が認められていないのは憲法違反だとして、全国で起こされた「同性婚訴訟」。14日に全ての地裁判決が出そろい、6件のうち違憲は1件のみでした。2審の札幌高裁でも同日、「違憲」としました。今、どんな流れにあるのでしょうか。そこで今回の#みんなのギモンでは、「同性婚訴訟…“違憲”相次ぐワケは?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。

●5つの地裁で判断分かれる
●高裁でも「違憲」 今後は?

■原告「法制化の足がかりになるように」

鈴江奈々アナウンサー
「いわゆる同性婚訴訟で、札幌高裁は14日、高裁として初めて、同性婚が認められないのは『違憲』、憲法違反だとの判断を示しました。またこの日午前には東京地裁が『違憲状態』との判断を示しています。原告の 3 人の声です」

原告
「風向きは変わっていますので、この節目が、また1つの法制化の足がかりになるような判決であることを願っています」
「もう少し一歩前に進むような、国会とか立法府にプレッシャーをかけられるような前向きな判断が出たらなと」
「流れはどんどんこの3年間でも変わってきてましたし、これからもどんどん変わっていくと思いますので、必ずいつか結婚できる日が来るというふうに思ってます」

藤井貴彦アナウンサー
「変化の波というのは皆さん感じていると思うんですけれども、その波が状況を変えていくスピードが速くなっているような気がしますね」

鈴江アナウンサー
「そういった実感がある中、14日の東京地裁と札幌高裁の判断が示されています」

■5地裁で6つの訴訟…判決出そろう

鈴江アナウンサー
「同性カップルの結婚が認められていないのは憲法に違反するとして、全国5つの地裁で、6つの訴訟が起こされた、いわゆる同性婚訴訟。14日の東京地裁の判決で全ての地裁判決が出そろいました。それぞれの判断を詳しく見ていきます」
「『違憲』としたのが、札幌地裁と名古屋地裁の2件。『違憲状態』としたのが、東京地裁の2件と福岡地裁の1件で計3件。『合憲』は1件でした。さらに14日の札幌高裁も『違憲』判断で、高裁として初めて示しました」

市來玲奈アナウンサー
「これを見ると、同性婚が認められないのは『違憲』という流れだということですよね。『違憲』と『違憲状態』はどのような違いがあるのでしょうか?」

■「違憲」と「違憲状態」の違いは?

鈴江アナウンサー
「ちょっと分かりにくいですよね。民法(家族法)が専門で婚姻制度に詳しい早稲田大学の棚村政行教授に聞きました。『違憲』というのは、サッカーで言えばレッドカード。明確に『これは憲法に違反している』という判断です」
「一方で『違憲状態』は、分かりやすく言うなら裁判所からの警告、イエローカード。『理由があって違憲とまでは言い切れない状態』だとしています」

■憲法24条2項が定めているもの

鈴江アナウンサー
「そして、地裁でその『違憲』や『違憲状態』という判断が最も多かったのが憲法24条2項についてです。4つの判決で『違憲』や『違憲状態』としていて、14日の東京地裁も、この部分を『違憲状態』と指摘しました」
「24条2項は、『婚姻などに関する法律は個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定しなければならない』としています。ちょっと言葉が難しいので、なるべくかみ砕いて説明します」

■東京地裁が示した「結婚のメリット」

鈴江アナウンサー
「結婚すると得られるメリットは、どんなものがあると思いますか?」

忽滑谷こころアナウンサー
「簡単な言葉になってしまいますが、自分が大好きな人とずっと一緒にいられる、社会から認められてパートナーでいることができるというのがメリットなのかなと思いますね」

鈴江アナウンサー
「確かにそれも含まれていますが、東京地裁は結婚のメリットを示しました」
「税金や社会保障が優遇される、結婚関係を社会に認めてもらえる、病院などでパートナーの診察状況を知ることができる、医療保険などの受取人になれる、といったことを具体的な利益が得られる例として挙げています」

■同性パートナーと暮らす当事者の声は

鈴江アナウンサー
「一方で、同性のカップルは現在の制度では結婚できないため、こうした利益を受けることができない状況にあるとしています。12年間同性のパートナーと暮らしている、柳沢正和さんに聞きました」

柳沢さん
「周りの異性愛の友達を見ていると、少なくともこのテーマ(結婚制度)では悩んでいないというのを見て、なんで自分はそういうふうに生まれてしまったんだろう、ということをずっと繰り返し繰り返し、当事者は問うてきたと思うんですね」
「私にとっては不必要な苦しみとか悩みというのは、この世代で終わらせたいなと」

藤井アナウンサー
「14日にいろんな判決が出て、当事者の皆さんにとっては自分のこの後の生活が、人生が、どう変わっていくんだろうということで、本当に不安だったと思いますね」

■東京地裁が「違憲状態」とした根拠

鈴江アナウンサー
「さらに14日の東京地裁の判決は、現在の医学ではLGBTQなど性的マイノリティーの人々の性自認や性的志向は、自らの意思で変更することができないその人自身の特質または個性で、かけがえのない権利だ、としました」
「憲法24条2項は、結婚などの法律を作る時は個人の尊厳と平等に立たなければならないとしていますが、今の法律は同性カップルから重要な利益を奪っていることなどから、『違憲状態』だとしました

■「合憲」の大阪地裁は「議論の途中」

鈴江アナウンサー
「一方で、同性カップルが結婚できない現在の制度は憲法違反ではないと唯一判断したのは、大阪地裁の判決です」
「憲法は同性婚を禁止していないが、男女カップルの結婚と同じ程度まで保障しているとはいえない、また同性のカップルにどのような法的保護を与えるかは議論の途中だと指摘しました」

■意識が変わる中…札幌高裁の示した意見

刈川くるみキャスター
「ただ札幌高裁でも『違憲』という判決を出しましたし、当事者の方も『風向きは変わってきている』と期待をにじませる中、これから先どのように進んでいくとみられるのでしょうか?」

鈴江アナウンサー
「棚村教授に聞きました。今回のような『違憲』つまりレッドカードの判決は、国民の意識も変わってきた中で、国に対して『このままにしていては(事態が)動かない』と踏み込んだ意見を示した、としています」
「一方で、国会や政府ではいまだに同性婚について具体的な議論や検討すら進んでいない状況とも指摘しています」

■G7で同性婚を認めないのは日本だけ

鈴江アナウンサー
「世界を見ると、G7で同性婚を全く認めていないのは日本だけです。また棚村教授によると、全国の自治体で『同性パートナーシップ制度』を導入した自治体は350を超えていて、人口カバー率は7割以上になっているそうです」

■当事者「ただ普通に生活をしたい」

鈴江アナウンサー
「棚村教授は『国民の意識の変化や家族関係の多様化も進んでいる。国会や行政はこの問題の検討や議論を待ったなしに開始すべき立場に置かれた』と指摘しています」

藤井アナウンサー
「裁判所による判決が少しずつ、『違憲状態』に傾いてきている中で大阪地裁は『合憲』とするなど、まさに今は端境期ですよね。どんどん時代の流れをくみ取ろうとしているところなのではないかと思います」
「当たり前のことだと思っていたことが自分たちの周りには違う受け止め方をされている、そんな時代が長かったという当事者が多いと思います。そういった純粋な思いが自然に、当たり前に成立するような世の中になっていけばいいなと感じますね」

鈴江アナウンサー
「当事者の柳沢さんは、『私たちはただ普通に生活をしていきたい。でも、今の社会でその普通を達成するためにはみんなの力が必要なんです』とおっしゃっていました」
「性的マイノリティーの人たちも含めて誰もが生きやすい社会へ向けて、議論が深まっていくことを望みます」

(2024年3月14日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

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お寄せいただいた情報をもとに日本テレビ報道局が調査・取材します。

#みんなのギモン

https://www.ntv.co.jp/provideinformation/houdou.html

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