「もっと早ければ…」女性自衛官への“日常的セクハラ”認め防衛省が謝罪 「口止め」も公表
防衛省は29日、元陸上自衛官の女性に対して複数の隊員が日常的なセクハラ行為をしていたことを認め、謝罪しました。元自衛官の女性が会見を開き、心境を語りました。
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29日午後4時過ぎ――
セクハラ被害を訴える元陸上自衛官・五ノ井里奈さん(23)
「長い道のりでした。実名とか顔出しして自衛隊のことを話すのは、たくさんの批判が来てたので」
今年6月までの約2年間、陸上自衛隊に所属していた五ノ井里奈さんは「在籍中、日常的にセクハラ被害を受けた」と訴え続けてきました。くしくも23歳の誕生日を迎えた29日、“陸上自衛隊のトップ”、吉田圭秀陸上幕僚長が会見しました。
吉田圭秀陸上幕僚長
「現在までの調査で、事実があったことが確認されました。誠に申し訳ございませんでした」
五ノ井さんに対し、複数の隊員が“日常的”にセクハラを行っていたことを認め、謝罪したのです。この件を巡っては、自衛隊も捜査を行い、3人の男性隊員が「強制わいせつ」の疑いで書類送検されていましたが、今年5月、「不起訴処分」になっていました。
五ノ井さんは6月に自衛隊をやめ、8月末には防衛省に対し、第三者機関による調査などを求める要望書を提出していました。9月に日本テレビの取材に対し「男性隊員が私に首をキメて倒して、そのまま覆(おお)いかぶさって腰を振るっていうことがありました。どんどん心と体が汚れていく」と語っていました。
被害を公にしないよう「口止め」を促されたとも訴え、自衛隊の“隠ぺい体質”を変えるよう求めてきました。この点について、吉田陸上幕僚長は報告も調査も十分ではなかったと認め、さらに五ノ井さんに対しての「口止め」も公表しました。
吉田圭秀陸上幕僚長
「当該隊員の訴えについて、中隊長が上級指揮官に対し報告をしていない、かつ事実関係の調査を行っていない」
このタイミングでの謝罪に五ノ井さんは――
セクハラ被害を訴える元陸上自衛官・五ノ井里奈さん(23)
「(調査結果を)もっと早く出していただきたかったというのはあるけど、私が所属している時に今のような調査をしてもらっていれば、(自衛隊を)やめることがなかったので」
防衛省は、ハラスメント事案としては異例の「特別防衛監察」に乗り出しています。29日午後5時過ぎ、「大変、申し訳ございませんでした」と五ノ井さんに直接謝罪しました。
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ほかにも複数の女性隊員が被害を受けたことを確認していて、セクハラに関わった隊員への懲戒処分を行うとしています。