ウクライナから避難したバレエダンサーが公演 日本で舞台にたったワケ
ロシアによるウクライナ侵攻から3か月あまりがたちました。こうした中、日本に避難しているバレエダンサーがチャリティー公演を行いました。日本で舞台にたったのには、ある理由があるといいます。
4日、埼玉・狭山市で行われた「ウクライナ人道支援チャリティー公演」に出演したのは、長澤美絵さんと、エフゲニー・ペトレンコさんです。2人は夫婦で、共にウクライナ・キーウに拠点を置く「キーウクラシックバレエ団」所属のプロのバレエダンサーです。
2人が日本で舞台にたったのには、ある理由がありました。
長澤美絵さん
「小さな息子がいたので、何かあった時に彼を守るのは、私たちの義務だなと」
ことし2月、ロシアによるウクライナ侵攻の直前、現地の大使館の指示で一時的に避難し、幼い息子と3人で、日本の長澤さんの実家に身を寄せました。
長澤美絵さん
「正直、一時帰国という考えで来たので」
ペトレンコさんの家族はウクライナ国内で避難していますが、キーウ近郊にあった実家は甚大な被害をうけました。このため、3人の帰国のめどはたっていません。
さらに、バレエダンサーゆえの事情もあるといいます。
長澤美絵さん
「ダンサーですから、レッスンしていないといけないので」
バレエダンサーはスポーツ選手と同じように、練習を続けないと、たちまち踊れなくなってしまうといいます。
所沢市に拠点を置くプロのバレエ団「NBAバレエ団」が2人を受け入れ、夫のペトレンコさんは、団員として舞台に立つことができるようになりました。
一方、長澤さんは「NBAバレエ団」の練習に参加しているものの、立場はフリーランスのため、先が見えない日々が続いています。
長澤美絵さん
「本当に、一日も早く(キーウに)帰りたいです。大好きな劇場が向こうにあるので、先生方と仲間とまた一緒に舞台を続けたいな」
そこで、長澤さんの高校時代の担任が、2人のためにウクライナを支援するチャリティー公演を企画しました。
長澤美絵さん
「ひとつひとつの舞台が本当に貴重なので、とにかく楽しんで」
観客の中には、同じくウクライナから避難している人々の姿もありました。
長澤さんは「今までの当たり前にできていたことが、できなくなった生活が続いているので、こういう舞台の機会に感謝しています」と話しました。
ペトレンコさんはバレエ団の次の公演に向けて、長澤さんはバレエ教室で臨時講師もしながら、今後もダンサーとして活動を続けるということです。