【解説】意外と知らない? 延長コードの“寿命”や“劣化” 火災が起きる危険も…
空気が乾燥して火災のリスクが高まるこの時期、家の中で注意が必要なのが延長コードの使い方です。
◇寿命の目安は5年
◇危険な使い方
◇タコ足で容量オーバー
以上の3点について詳しくお伝えします。
22日、兵庫県神戸市の共同住宅で8人が死傷する火事がありました。その出火原因について、兵庫県警と消防が現場検証を行った結果、延長コードの劣化が原因とみられることがわかりました。畳の上に置かれていたコードの周辺が最も激しく燃えていて、断線していたことなどが出火につながったとみられています。
延長コードの劣化が、どのように火災につながってしまうのか。日本配線システム工業会に聞きました。まず、延長コードは長年使ったり、過酷な環境で使うと劣化して、故障の原因になります。
パッと見ではわからなくても、実は中の導線が切れていたりして、そのまま使い続けると、やけど・感電・火災など重大な危険につながる可能性があります。
では、劣化しているかどうか、どのようにして見分けたらいいのか。まず、延長コードには寿命があります。その目安は5年です。5年を過ぎると、焦げたり断線したりといったトラブルの報告が増えるそうです。ただ、これはあくまでも目安で、使い方によって寿命は変わります。5年を目安にまずは点検して、必要なら交換するといいそうです。
では、具体的にどう点検したらいいのか。劣化を見分けるサインがいくつかあります。
◇サイン1:差し込み口やコードが熱くなっている
抜き差しの頻度が多かったり、無理やり抜いたりすると、内部で接触不良が起きて熱を持ち、危険な状態になってしまいます。
◇サイン2:使用中の器具がついたり消えたりする
コードの根元あたりは最も曲がりやすい部分です。何度も曲げていると内部で断線が生じます。照明器具など光がチカチカしているような場合は、断線している可能性があります。
◇サイン3:プラグの抜き差しがゆるくなっている
コンセントを差し込んだ時にぐらぐらするような状態になっていると、タップの金属部分のプラグの刃をくわえ込む力が弱まっている可能性があります。
◇サイン4:プラグの焦げ・溶け・曲がり
電源プラグが焦げていたり、溶けたり、変形している、もしくは差し込む部分が曲がっていると、プラグ内部で熱が発生し、部分的に断線していることがあります。これは、抜き方が悪いと起きてしまいます。抜く時は、プラグ本体をしっかりつかんでまっすぐ抜くといいそうです。
こうしたチェック項目が1つでも当てはまる場合には、新しいものに交換しましょう。
では、なるべく長持ちさせるためには何に気をつけたらいいでしょうか。
◇気をつけるポイント1:コードを引っ張らない
例えば掃除機を使う時などに、コードを無理やり引っ張るのは止めましょう。
◇気をつけるポイント2:重いもので踏みつけない
棚などの家具の下にひいてしまったり、ドアに挟まったりしていると、その部分に負荷がかかって劣化を招きます。
◇気をつけるポイント3:水や蒸気をかけない
水分も劣化の原因になります。風呂場や洗面所など、水気がある場所での使用はなるべく避けて、加湿器なども注意が必要です。
◇気をつけるポイント4:束ねて使わない
コードを束ねたまま使ったり、絡まっていたりすると、その重なった部分に熱がたまり、コードを覆っている樹脂の部分が溶け、導線がむき出しになる危険もあります。
延長コードの危険はほかにもあります。プラグとコンセントの隙間にたまったほこりで延長コードがショートしてしまうトラッキング現象というものがあります。
トラッキング現象は、ほこり以外に水分が原因になる場合もあります。対策は、しっかり差し込むこと、そして隙間をつくらない、ほこりがある場合には払うことが重要だそうです。
実際の延長コードをみますと、胴体部分に差していい容量は1500ワットまでと記されています。家電ごとの消費電力の目安が下記になります。
【消費電力の目安】
・液晶テレビ 210W
・掃除機弱 弱は200W 強は1000W
・ドライヤー 1200W
・IH炊飯器 1300W
・アイロン 1200W~1400W
・電子レンジ 500W~1500W
組み合わせに気をつけてください。
◇
コロナ禍以降、テレワークの増加で、自宅でパソコンや電気機器を使う機会も増えて、延長コードの出番も増えています。普段、あまり気にかけることのない目立たない存在ですが、正しい使い方や点検方法を知って、防げる事故は防ぎましょう。
(2023年1月26日午後4時半ごろ放送 news every.「知りたいッ!」より)