既存製品がバリアフリーに?IKEAの発案
ゲストいち押しのソーシャルグッドなヒトやモノを紹介していただく「recommend」。障害にスポットをあてたプロジェクトを展開しているキュレーターの田中みゆきさんに聞いた。
――田中さんのいち押しを教えてください。
IKEA「ThisAbles」です。IKEAのイスラエルが始めたプロジェクトです。障害当事者とプロダクトデザイナーが開発、ワークショップみたいなものを行って、どうやったらIKEAの既存の製品が障害のある人にとって、より使いやすいものになるかということを――あと既存の障害者のために、いちから製品を作るのではなく、既存の製品にちょっと作り加えることで、より使いやすくなるパーツを開発しました。
――ちょっと見てみましょう。これハケのようなブラシあれですね。絵筆に今何か器具を取り付けまして、それを指に挿しましたね。
これは指の自由がきかない障害がある子が、絵筆を使えるように作られたパーツですね。
――こちらは、扉があけられない…
そうですね、取っ手もないですしね。
――そこに、何かハンドルをつけることによって。
ちょうどはまって。
――うれしそうな表情になりますよね。これは、スーパーで先ほどもありましたけれども、3DデータがWeb上で公開されているということなんですね。
はい。ショップでも無料で配布されてるようなんですけれど、3DデータがWeb上にあるので、3Dプリンターがあれば世界中誰でも無料で作ることができるというものです。
――これ「ThisAbles」と書いてありますけど。本来のディスエイブル(disable)って、できないって言葉、単語ですよね。
通常はdisableは、DISで表記されてるんですけど、これを同じような発音で、「これならできる」っていうふうに変えたというネーミングも含めて素晴らしい取り組みだなと思います。
――ちょっとした工夫をしたことによって、みんなが使いやすくなると。
そうですね。いちから障害者のために作らないといけないとなると、お金がかかるとか、需要が少ないとか、いろいろあって尻込みしてしまうメーカーもいると思うんですけど、ちょっとした工夫することで、みんながより使えることになるというのが素晴らしいなと思います。
――無料でパーツなどはショップで配布されるとか、3Dプリンターがあれば誰でも作ることができる、このあたりもすごくボーダーレスになっていいことですよね。
■田中みゆきさんプロフィル
キュレーター。文化施設で展覧会や公演の企画などに携わった後、フリーランスに。障害にスポットをあてたプロジェクトを展開している。これまでに、義足のアスリートによるファッションショーや視覚障害者のダンスパフォーマンスなどを企画。今年3月には、全盲の男性が映画を制作する過程を追ったドキュメンタリー映画「ナイトクルージング」をプロデュースした。アートやデザインを通して障害について考える機会をつくり社会を豊かにすることを目指している。
【the SOCIAL recommendより】