五輪パラ新国立競技場“バリアフリー”は?
9日、新国立競技場を上空から撮影した様子。フィールドには芝生がはられ、トラックのレーンも書き込まれている。来年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、バリアフリーはどこまで進んでいるのだろうか。
東京・江戸川区にある介護施設。ここで働いているグリズデイル・バリージョシュアさん(38)。
グリズデイルさん「ホームページを全部管理してて、ウェブマスターの仕事をやっています」
グリズデイルさんはカナダ出身。脳性まひの影響で、4歳の頃から電動車いすで生活している。2000年に初めて来日したとき、駅員の親切さに感動したというグリズデイルさん。その後、日本で暮らし始めた。
グリズデイルさん「(日本のバリアフリーは)すごいペースで進んでいると感じていますね。駅のバリアフリーとかノンステップバスとかすごく増えていて、もうどこでも行けるようになっていますので」
来年の東京オリンピック・パラリンピックについては。
グリズデイルさん「すごく楽しみにしています。わくわくですね」
この日、グリズデイルさんと一緒に向かったのは、大会のメインスタジアム・新国立競技場。
グリズデイルさん「千駄ヶ谷駅からちょっと遠いので、(車いすを)自走とか押してだったらたぶんちょっと疲れてしまう」「すごくきれいですよね。入ってみたいですね」
今月末に完成予定の新国立競技場。周辺のバリアフリーは、どこまで進んでいるのだろうか。
グリズデイルさん「多くの日本の道よりも広いので混雑していても車いすでも移動しやすいかな」
隣接する駅では、エレベーターを新たに設置するなどの工事が進んでいる。
グリズデイルさん「すごく良くできたなと思いましたね。横断歩道(の段差)はもっとスムーズにできるかもしれないですけど、エレベーターもさらに増えているので、スムーズにアクセスできるかなと思いました」
大会を観戦する車いす利用者に向け、情報発信を行っている団体もある。360度カメラを使い、歩道で、車いすの目線の高さから映像を撮影。編集を行いインターネットで公開している。
VR革新機構・横松繁代表理事「ストリートビューは道路なので車いすの視線で(歩道で)はじめて。その視線で見ないと分からないことがいっぱいあった」
車いす利用者が安心して競技会場に行けるよう、下見などに役立ててほしいとしている。
グリズデイルさんも、訪日観光客に向けた英語のバリアフリー情報をインターネットで発信している。ホテルの部屋の玄関の広さやカーテンの開け方など、きめ細かい情報も載せている。
一方で、ホテルやレストランには、まだ改善の余地があるという。
グリズデイルさん「日本に来ると和食とかの文化を楽しみたいんですけど、残念ながら玄関(の段差)とか(入り口が)狭いお店が多いので行ける場所が本当に少ないので残念だと思います」
来年の東京大会をきっかけに、バリアフリーがさらに進むことが期待されている。