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「30代の4人世帯」だけが突出して“家計改善”――ポイントは30代女性の「賃金」 他世代への波及には「男性の育休」もカギ

2022年6月24日 11:31
「30代の4人世帯」だけが突出して“家計改善”――ポイントは30代女性の「賃金」 他世代への波及には「男性の育休」もカギ

この10年で30代の4人世帯の家計が、突出して改善されたとの調査結果が明らかになりました。30代女性の賃金が背景にあり、出産後も働けるようになったことが影響しているとみられます。他の世代でも改善するには、男性が育休を取得できる環境も必要です。

■可処分所得の推移は…際立つ30代

有働由美子キャスター
「『30代の4人世帯』だけが突出して家計が改善している、という気になる調査結果が発表されました。大和総研が推計・発表したもので、モデルは20代独身の男性と女性、30代・40代・50代の夫婦と子ども2人の4人世帯、の5つです」

「物価が上昇している分も踏まえた、家計の中で実際に使える『実質可処分所得』(特別給付金を除く)の推移を調べたところ、10年前の2012年に比べて、30代4人世帯が際立って伸びていることが分かりました。なぜなのでしょうか?」

■30代既婚女性、増える正規雇用

小栗泉・日本テレビ解説委員
「大和総研の是枝俊悟・主任研究員によると、ポイントは30代女性の賃金です。総務省統計局の『労働力調査』を基に大和総研が作成したグラフでは、30代既婚女性の就業率は少しずつ上がっているのが分かります。内訳を見てみましょう」

「10年前の2012年は、非正規雇用(30.5%)の方が正規(25.4%)より多かったのですが、今は逆転。2021年には非正規(32.6%)より正規(38.6%)の方が多くなっています。つまりこれが、30代4人世帯の家計を押し上げています」

有働キャスター
「正規雇用が増えた理由は?」

小栗委員
「育児休暇を取りやすくなったり、保育所を利用できるようになって、子どもを産んだ後も働き続けられるようになったためです。この結果、この10年間で正規雇用が増え、賃金が増えて、家計が改善したということです」

■30代4人世帯「のみ」の理由は?

有働キャスター
「だとすると、他の世代ではどうして増えないのでしょうか?」

小栗委員
「是枝主任研究員によると、こうした環境整備はこれから子どもを産んで働き続けようという女性には効果がありますが、既に出産や育児のために一度退職した40代、50代の女性が改めて正規雇用に就くことは難しいままです」

「これをいかに改善するか。また、職場復帰した後も働き続けるためには、『男性が育休を取りやすくするなど環境整備も必要だ』と是枝主任研究員は話しています」

■男性の「育休」推進…どうすれば?

有働キャスター
「廣瀬さんは経営者でもありますが、この点はいかがでしょうか?」

廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「正直に申し上げて育休で戦力が減ってしまうのは、人数も少ない(会社)ですし、とても痛手ではあります。ただその人の人生が大事ですし、残りのメンバーで頑張り、一時的に仲間を募りたいなと思います」

「いずれにせよ男性にも時短やリモートワークなど、いろいろな働き方を認めていきたいなと思います」

有働キャスター
「では今回の参院選で、政治は男性の育休をどうするのか。zero選挙の『候補者アンケート』では、男性の育休取得を雇用主に義務付けることについて、主要政党のほとんどが『賛成』か『ほぼ賛成』となっています(23日午後8時時点)」

「候補者1人1人の考え方も見ることができます。自分の考えに近い候補を見つけるのも、選挙の1つの楽しみ方です」

(6月23日『news zero』より)