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気候変動危機解決に“衛星データ”で挑む

2020年2月26日 14:46
気候変動危機解決に“衛星データ”で挑む

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見をうかがう「opinions」。今回のテーマは「『気候非常事態宣言』の自治体続々」。DATAFLUCT代表の久米村隼人氏に話を聞いた。

気候変動の現状に危機感を示し、地球温暖化対策に取り組む決意を表明する「気候非常事態宣言」。

日本では、長崎県壱岐市が2019年9月に宣言。その後、神奈川県鎌倉市や長野県など、宣言する自治体が増えています。

また今月20日「気候非常事態宣言」を今の国会で決議することを目指す超党派の議員連盟が発足。「もはや“気候変動”ではなく、“気候危機”だという認識を国会で共有したい」としています。

ネット上では、

「かけ声だけでなく実行に移さないと」
「世界共通の宣言にしてもらいたい」
「2050年CO2ゼロは達成できるか」

などのような意見がありました。この話題について久米村さんに、ご意見を伺います。

――まずはフリップをお願いします。

「ビッグデータで見える化!」と書きました。

先ほどの長野県ですが、2025年には「県のCO2の濃度を実質半分にする」という目標を立てています。これは省エネや再生可能エネルギーをどんどん使っていこうということなのですが、こういう目標はなかなか立てても、途中でうまくいっているかどうかなどをモニタリングする仕組みが結構大変です。

そこで我々が注目しているのが、温室効果ガスを測定する衛星で、それが結構使えるのではないかと思っています。さらに新しく上がった衛星が、高精細な観測ができる衛星でそれを衛星利用ビジネスとして展開できるのではないかと思っています。

――その新しい衛星を使えば、いろいろなことがモニタリングできるということなのですか。

そうです。具体的には地上のセンサーと衛星からのセンサーを掛け合わせて、自治体ごとに、あるいは都道府県ごとにどれだけCO2を排出しているのかをダッシュボードのようなサービスで簡単なソフトウェアとして安く配る。それによって、みんながどれだけCO 2を出しているのか、やった施策に対して効果があったのかというのをモニタリングできるような仕組みを開発します。

――完全にCO2の行方がわかる、ということでしょうか。

CO2がなぜ発生したのかということが、部分的にですがようやく検証できる仕組みが整ってくると考えております。

――久米村さんの会社では具体的にどのように提供していくのでしょうか。

我々は衛星を飛ばしている会社ではなくて、それを活用してエンドユーザーの方、具体的に今回では自治体さんや建設業の方たちが、使いやすいようにソフトウェアで簡単に見られるような仕組みを作っています。

――それこそ簡単にわからないと続けていけないですよね。また持続可能というところにも注目していらっしゃるということですよね。

そうですね。自分で衛星データを見に行って分析するのはめちゃくちゃ大変です。Web上で簡単に見える仕組みを作りたいと思っています。

――見える化をすることで、自分たちの意識も高まりそうですね。

見える化したことによって、やっとこれ(施策)がうまくいっているのかどうかなど検討することが出来ます。それで何をするべきかという課題が明確になってくるのではないかなと思っています。

■久米村隼人氏プロフィル
DATAFLUCT代表。衛星データをはじめとしたさまざまなデータから、社会課題を解決するデータサイエンス・スタートアップスタジオ、DATAFLUCTの代表。大学院卒業後、ベネッセコーポレーションをはじめリクルートグループや日本経済新聞社などで15以上の新規事業を創出。社内起業も経験した。2018年に独立し、JAXA(宇宙航空研究開発機構)に新規事業の専門家として招へいされる。そして2019年にDATAFLUCTを創業。JAXAの業務で得た知見を利用して事業をおこなうJAXAベンチャーにも認定されている。

【the SOCIAL opinionsより】