浸食で村一変 米国でも気候変動“難民”
地球温暖化対策を話し合うCOP25に参加するため3日、ヨットで環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんがポルトガルに到着した。世界各地で異常気象が頻発する中、アメリカでも気候変動“難民”が生まれている。
環境活動家・グレタさん「権力のある人々に圧力をかけるために、これからも世界をまわります」
アメリカのトランプ政権がパリ協定からの離脱を決める中、気候変動は、すでにアメリカの人々の暮らしを直撃している。
「思ったより寒くないですね」
アメリカ・アラスカ州、北極圏に位置する村、キバリナ。北極海と「ラグーン」と呼ばれる内海に挟まれた細長い形をしている。先住民族を中心に、およそ500人が暮らす小さな村。この村で生まれ育ったエノック・アダムズ・ジュニアさん。
エノックさん「向こう側は6mほど削られて家の前の小屋は流されてしまった」
ラグーン沿岸の浸食が進んでいるという。
26年前に同じ場所で撮影された映像。現在と比較すると、黄色い小屋の前の土地は大きく削られ、さらに奥の建物の前にあった骨組みは跡形もなくなっていた。
以前は凍った海が防波堤となって海岸線を高波から守ってきたが、海が凍りにくくなったことで激しい波が直接土地を削ってしまう。無残に削られむき出しになった地層。かつての船着き場も崩れ落ちていた。年々陸地が小さくなっているという。さらに…。
村の人「アザラシが集まる氷がないから狩りが難しくなっています」
これまでは凍った海の上を通ってアザラシが多く生息する沖まで移動し狩りができていたが、今年は11月になっても海が凍らず岸から獲物を探すことしかできない。
村の人「今年は水ばかりで氷がほとんど見当たらないです」
生活の糧にも大きな影響を及ぼしている気候変動。
エノックさん「我々は気候変動難民なんだよ」
実は村ごと別の場所に移住する計画があるという。移住先の候補とされているのは、海から遠く離れた内陸の荒野。
アラスカでは少なくとも12の村がすでに移住を決めたり検討したりしている。
しかし、世界的な温暖化対策の流れに逆行するトランプ政権。
エノックさん「トランプ大統領が(この村が)どう変わってしまったか見てくれれば、問題に取り組むよう彼を説得できると思います。私には生きていかなくてはならない生活があるのです」
アラスカの人々の思いは、COP25に届くのだろうか。