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緊急事態宣言「解除」で気をつけるべきこと

2020年5月15日 19:56
緊急事態宣言「解除」で気をつけるべきこと

緊急事態宣言が解除されても、医療現場の厳しい状況は続いています。今も最前線で重症者の治療にあたっている医師が語ったこととは。また、解除によって私たちの暮らしの何が変わるのでしょうか?

■緊急事態宣言の「解除」医師はどう見る?

重症患者を受け入れ、日々対応に追われる医療現場。

都内の昭和大学病院では、元々心臓や消化器に疾患のある患者を受け入れていた病棟を「コロナ患者専用」にし、今も懸命な治療が続けられています。スタッフは、感染のリスクもある中、患者と近い距離で看護にあたっており、いまは最も多いときに比べ、入院患者が半数ほどに減ったといいます。

昭和大学病院、呼吸器・アレルギー内科 相良博典医師「かなり長期戦になってきた。そうするとスタッフの方々含め、かなり疲れがでてきたとか医療従事者も感染してしまうということがありますので、そういうところはかなり緊張感をもって対処していく」

医療従事者が常に抱える「院内感染」への不安。

東京都の世田谷井上病院では、新たに入院患者20人と、看護師などの職員7人の感染が判明しました。

医療従事者らが今も奮闘する中で解除された、39県の緊急事態宣言。相良医師は、決して気を緩めるべきではないと指摘します。

相良博典医師「新規発生が少なくても、同じような形で密のような状況が出来上がると、また元に戻って第二波、第三波がくる可能性があります。皆さんが今後(第二波が)起こる可能性があるんだという高い意識を持っていただいた上で解除すべきじゃないかと」

■緊急事態宣言「解除」できることとできないこと

緊急事態宣言が解除された場所では「何ができるようになるのか」。小栗泉解説委員に聞きました。

まず、引き続き「特定警戒都道府県」のままとなった東京などでは、これまで通り自粛が求められます。一方で、解除された地域でも例えば「買い物」が、元通りにできるようになるかといえば、そうではないんです。

きょう業界団体がガイドラインを出したんですが、スーパーやコンビニではこれまで通り、レジの前などはできるだけ2mの間隔を空けて並ぶこととされています。

また、すでに実施しているお店もありますが、自分で取り分けるスタイルのお総菜やパンなどは飛沫を防ぐため、パックや袋詰めの販売に変更されそうです。

食料品の「試食」も中止するよう呼びかけています。

そうすると、解除された地域でもあらかじめ買うものを決めて、比較的空いている時間に行くといった工夫は続けていくことが必要なんですね。

次に飲食店ですが、対面して座ったりほかのグループとの相席を避けたりする。そして食事をする時以外はマスクをすること。さらに、テークアウトをする場合も店内に長居しなくて済むように、事前予約することが好ましいとしています。

デリバリーを利用する時も、少しでも人との接触を減らす工夫が大事ですね。あと気になるのが、自分が住んでいる県が解除された場合、もし隣の県も解除されていたら移動は自由にしてもいい?

それが、そういうわけにもいかないようなんです。

政府は、たとえ解除された後でも県をまたぐ移動、帰省、旅行は「極力避けるように」と呼びかけています。メドについて安倍総理は会見で「月末までは自粛を」と話していました。

「通勤」や「人との接触」については、これまでそれぞれ「7割減」「8割減」が求められていました。解除された県ではこうした数値目標はなくなるんですが、引き続き、在宅勤務や時差出勤といった働き方の見直しは求められています。

このほかにも学校がどうなるのかとか、飲食店は何時までやっていいのかとか気になることも多いですが。

文部科学省によりますと、学校は東京・大阪などを含めおよそ96%が6月1日までには再開する予定だということなんです。その他、営業再開の具体的な時期などは国の方針を受け、県が地域の実情を踏まえて決めることになります。

緊急事態宣言が「解除」となっても、また元の行動に戻ったら感染が広がってしまうんですね。解除された地域の方にとっては、自分のこれまでを「新しい日常」に作り替えるという意識で生きていく。宣言の解除はスタートになるのではないでしょうか。