×

【解説】“統一教会” 安倍元首相の銃撃事件後2回目の会見 “名称変更問題”「悪意に基づく報道」と主張

2022年8月10日 22:07
【解説】“統一教会” 安倍元首相の銃撃事件後2回目の会見 “名称変更問題”「悪意に基づく報道」と主張

「世界平和統一家庭連合」、いわゆる“統一教会”の田中会長らが、10日午後3時から、安倍元首相の銃撃事件後2回目となる記者会見を行いました。

◇政治と教団 関係は?
◇多額の献金は今も?
◇厳しい質問も?

以上の3つのポイントについて、詳しく解説します。

   ◇

■約1か月ぶりの会見 前回は“教団主催”でフリーの記者など入れず

先月11日以来、約1か月ぶりの教団の会見は、前回と異なる点がありました。

10日、会見が行われたのは、東京・丸の内にある「日本外国特派員協会」です。前回は教団の主催で記者会見が行われ、教団側が選んだメディアや記者しか入れず、教団を長年追及してきたフリーの記者などが排除されるという場面もありました。

ただ、今回の主催は外国特派員協会のため、外国メディアや日本のテレビ、新聞の記者はもちろん、フリーや雑誌の記者も入ることができました。

外国特派員協会に聞いたところ、今回、参加希望者が大変多く、50席用意した座席を70席まで増やしたが、それでもすぐに満席になってしまい、会場に入れないジャーナリストも多かったということです。

そして、海外と日本のメディアの割合、だいたい半々くらいで、会見はオンラインでも中継され、質問はチャットでも受け付けたということです。

■冒頭に頭を下げるも… 「報道の中にはひどい内容も多々あり」と批判

教団側の出席者は田中富広会長、そして、山田達也法務局長でした。田中会長は冒頭こそ頭を下げて謝罪しましたが、それ以降はほとんど、教団側のこれまでの主張を繰り返していたという印象です。

世界平和統一家庭連合 田中富広会長
「犯人とされる容疑者が、当法人、家庭連合への恨みを動機として行動に出たという報道に触れ、社会の皆様にも様々にお騒がせしていることに深くおわび申し上げます」

「昨今の報道の中には、見過ごすことのできないひどい内容も多々あり、本日の会見の場を持たせていただくことといたしました。いわゆる霊感商法なるものを、過去においても、現在も、当法人が行ったことはありませんし、問題と指摘される行為をしないよう、コンプライアンスの徹底に努めております」

■「霊感商法」否定…一方、被害額“約1237億円” 弁護士は「氷山の一角」

銃撃事件で逮捕された山上徹也容疑者の母親が、教団に多額の献金を行い、破産し、家庭が経済的に崩壊したとされることや、いわゆる霊感商法に代表されるような問題について、田中会長は、「いわゆる霊感商法なるものを、過去においても、現在も、当法人が行ったことはありません」、「2009年以降、問題とされる行為をしないよう、コンプライアンスの徹底に努めている」というふうに主張しました。

しかし、教団の霊感商法への被害対策にあたってきた全国霊感商法対策弁護士連絡会のまとめによると、去年までの35年間で相談された被害額は約1237億円にのぼるということです。そして、弁護士たちは、「このような被害の中には、教団の“組織的な不法行為”であると責任を認めた判決も出ている」としていて、「寄せられた被害は“氷山の一角”で、実際の被害ははるかに多い」と主張しています。

■“名称変更”問題 「ゆがんだ憶測や、悪意に基づく報道」と主張

「統一教会」から「世界平和統一家庭連合」へと、長年認められなかった教団の名称変更が2015年に認められて、「教団の正体隠しではないか」との批判があがっている、いわゆる「名称変更」問題について、教団側は10日、「ゆがんだ憶測や、悪意に基づく報道だ」として、「純粋な法律問題として適法に処理されたもので、政治的な介入はなかった」と主張しました。

教団の被害者の相談にあたってきた、全国霊感商法対策弁護士連絡会の山口弁護士は、ここまでの教団側の主張を聞いて、「言っていることは全くのウソばかり。しらじらしく、ばからしい言い分だ」と述べ、会見での主張を真っ向から否定しています。

■岸田首相「関わりの見直し」指示 田中会長「至極残念」

政治と教団の関わりについて、今回の内閣改造で、岸田首相が教団との関係の見直しを徹底するよう指示したことについて、田中会長は「(教団との)関わり方が判断の基準にされたなら、至極残念」、「世論に対しての気遣いも否定できず、誠に遺憾」と述べました。

   ◇

このような教団側の主張、今後も注意深く検証していく必要があります。

(2022年8月10日午後4時半ごろ放送 news every.「知りたいッ!」より)