【解説】電力不足で初の「需給ひっ迫警報」なぜ?今すぐできる節電方法とは
22日、東日本の広い範囲で電力が不足する可能性があるとして、政府が初の警報を出し、節電を呼びかけました。都内の企業や商業施設でも対応が始まっています。電力不足の理由、今すぐできる節電方法などについて詳しく解説します。
■電力不足で初「需給ひっ迫警報」企業の対応も
東京電力管内と東北電力管内で電力が不足する可能性があるとして、22日、政府は「電力需給ひっ迫警報」を出しました。
電力需給ひっ迫警報とは、電力の余力が3%を下回る場合に発令するもので、2012年に制度が作られて以来、実際に発令されるのは今回が初めてだということです。
節電が呼びかけられているのは、東京電力管内の1都8県と東北電力管内の7県の家庭や企業です。政府は、22日午前8時から午後11時まで10%程度の節電を要請しています。
東京・銀座の百貨店、松屋銀座では、22日の午前中から空調を普段の6割から7割ほどに弱めるなどの節電を開始しました。また、新宿にある家電量販店では、展示用のテレビを消すなどの対応をしていました。
■電力不足「地震」「季節外れの寒さ」2つの理由
なぜ、このような事態になってしまったのか、理由は主に2つあります。
1つ目は、16日に福島県沖で発生した地震により、東北地方などにある一部の火力発電所が停止したことです。
22日時点で、復旧の見通しは立っておらず、東京電力は「火力発電が復旧するまで、電力の需要と供給は当分、綱渡りの状態が続く」としています。
2つ目は季節外れの寒さです。
22日、東京では、正午でも気温が1.9℃と真冬でもめったにないような寒さとなりました。これにより、エアコンや暖房器具の利用も大幅に増えており、電力も多く使われるということになりました。
■一時“107%”も…電力使用率の推移は
電力の供給力に対する需要の割合を示す電力使用率は、午後2時台に、東京電力では107%、東北電力では97%でした。東北電力では、午前9時台に一時100%となり、ぎりぎりを行ったり来たりしている状態が続きました。
東京電力の状況を詳しくみていきます。
電力の使用率は、午前9時台には97%とぎりぎりの状況になり、10時台には101%に達し、その後も100%超えが続いていました。そして、午後3時台は、98%になりました。朝と夕方が最も電力の需要が高まる時間帯ですが、夕方以降も電力の供給力より需要が上回る予測が続いています。
電力の使用率が100%を超えていますが、火力発電所を通常以上に稼働させたり、ほかの電力会社から電力を融通してもらったりすることで、なんとかまかなっている状態だといいます。とにかく、電力はひっ迫していて、全く余裕はない状況です。
経済産業省の萩生田大臣は22日午後3時前、緊急会見を開き、次のように呼びかけました。
萩生田経産相
「このままでは、残念ながらいわゆる“ブラックアウト”を避けるために、地震当日と同様に広範囲での停電を行わざるを得ない状況が近づいております」
政府は、「このまま節電が進まない場合は、一部の地域を予告なく停電にするなど、強い対処をする可能性がある」としています。
■今すぐできる節電方法とは?トイレも意外に…
22日は「真冬よりも寒い」といわれ、暖房を使っている人も多いと思います。東京電力は、節電のポイントとして「暖房の設定温度を20℃にする」などの協力を呼びかけています。暖房を効果的にするために、カーテンなどを閉めて窓から熱が逃げるのを防ぐのもいいそうです。
続いて照明器具について。スイッチを入れたり切ったりする際にほとんど電力を消耗しないということで、必要がない時はこまめに消灯すると節電になるといいます。調光機能がある場合は、明るさを暗めにするのも効果的だということです。白熱電球は、明るさを60%にした場合、消費電力が約20%削減されるといいます。
トイレの電気便座をあたたかく保つ設定にしている場合、使わない時は便座のふたをしめると、熱を逃がさず1日あたり約15%の節電になるそうです。また、便座の設定温度を「高」から「低」に下げるだけで、1日あたり約45%も節電になるということです。
そして、待機電力も注目すべきところです。家電は、リモコンで電源を切ると、使っていない時も待機電力が発生しています。必要がない時は、主電源を切ったり、プラグを抜いたりすることで、節電になるということです。
また、テレビは省エネ機能がついているものも多いので、利用してもらいたいと思います。
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夜には、あちこちの部屋の電気や暖房をつけなくていいように、家族で一部屋に集まって過ごすなど、できることから協力していきたいです。
(2022年3月22日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)