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「逃げ得を許さないと」「警視庁の執念」 ガーシー容疑者の“急転帰国”のワケは…

2023年6月6日 5:52
「逃げ得を許さないと」「警視庁の執念」 ガーシー容疑者の“急転帰国”のワケは…

4日に逮捕された前参議院議員のガーシー容疑者。捜査幹部は、今回の帰国について“本人の意思ではない”と明言しています。“急転直下”の帰国の背景には、何があったのでしょうか。

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被害者から「逮捕されること自体は本人の自業自得」と指摘される前参議院議員のガーシーこと東谷義和容疑者(51)。去年、YouTubeに配信した動画で著名人ら3人を常習的に脅迫した疑いなどがもたれています。

そのうちの1人には、動画内で「全部話は入ってきてます。とことんいきます。これ撤退してください」と述べていました。ジュエリーの事業を取りやめさせた強要などの疑いも持たれています。

4日、ガーシー容疑者は滞在先のUAEから日本に到着し、成田空港に姿を見せました。水色の半袖シャツと白い短パンにサンダルという姿でした。捜査関係者によると、所持品はスマホ1台だけだったといい、急転直下の帰国となりました。

空港内では度々、笑みを浮かべ、乗り込んだ車の中でも笑っていました。その日の夜に接見した弁護士が、笑顔の理由をYouTubeに投稿された動画内で明かしました。

東谷容疑者の弁護士
「マスコミの方々がめちゃくちゃ空港の中にいて、『マスコミすごいですね』と警察の方々と話をしている時に『顔がほころんでしまった』と(言っていた)」

また、“何か希望があったら”と聞くと――

東谷容疑者の弁護士
「開口一番言っていたのは『子どもの頃から(週刊少年)ジャンプを読んでいたので、差し入れができるのだったらジャンプをお願いします』と」

弁護士によると、動画については「配信した事実関係については客観的な証拠もあるので『やったことはやった』と協力姿勢でいく」とした上で、「母国の日本に来てすっきりしたという気持ちと、ほっとしたという気持ちが強い」と話していたということです。

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さらに、脅迫内容についても新たな情報が出てきました。

捜査関係者などによると、ガーシー容疑者はジュエリーデザイナーの男性に対し、「奥さんもよく知っています。ブランドやめるまで、たたこうと思ってます」と妻も知っていることに触れた上で脅していたとみられることが明らかになりました。

ブランドのスポンサーに対しても、「続けるなら名前を出す」などと言って撤退を迫ったといい、結果、店は閉鎖に追い込まれました。家族や周囲の人々にも危害を加えることを示唆し、常習的に脅迫していたとみられます。

ガーシー容疑者は自身のSNSで今年3月にライブ配信した際には、「無理やり(国会議員を)除名させた後にすぐ逮捕状ってさ、よっぽど嫌いなんやろうなと思うわ、俺のこと。まあまあでも元気ですよ、俺は。心配せんでも、日本帰らんからもう」と話していました。

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これまで警視庁からの聴取の要請に一切応じず、今回の帰国は“本人の意思ではない”と捜査幹部は明言しています。事実上の“国外退去”での帰国には、どのような背景があったのでしょうか。

日本テレビ・警視庁クラブ 石浜勇樹記者
「警視庁の執念といいますか、とにかく“やれることを全てやる”という中で、UAEへの直談判が実った形。1つはガーシー容疑者が“前参議院議員”という立場があったこと。それから(逮捕容疑が)まさに今風というか、YouTubeを使ったある意味で日本国内でなくてもできる、必ず『逃げ得を許さない』ということが、警視庁に火をつけたと言っても過言ではないと思います」

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今後、罪に問われるとするとどうなるのか。常習的脅迫罪が成立する可能性はあるのか、またその場合、どのような刑罰を受ける可能性があるのかを聞きました。

元東京地検特捜部 若狭勝弁護士
「常習的脅迫というのは、反社会的勢力などの人が適用されることが比較的多い犯罪です。懲役3か月以上・懲役5年以下。被害者3人だと“常習的”と言えるのかどうか、ちょうど際どい線だと思う」

常習的脅迫罪となった場合は「初犯なので執行猶予になる可能性が高いが、これまで聴取に応じず、逮捕状が出ても帰国しなかった。情状としては悪い方向に傾く」として、場合によっては“実刑の可能性もある”と若狭弁護士は指摘します。

警視庁は今後、動画配信を指示した人物がいたかどうかなど、ガーシー容疑者の動画配信における役割を捜査する方針です。

(6月5日放送『news zero』より)